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消費は改善の動きが鮮明になっている。支出全般はプラスに転じている。日常生活財では改善の動きが続く一方、耐久財では低迷が続いている。
雇用環境と収入環境はともに改善が続いており、マインドも改善に転じている。コロナ新規陽性者数は減少傾向を保つ中で、外国人観光客への入国制限緩和も進み、旅行に対する需要喚起策も積極化しつつある。
消費回復を阻む最大の要因となってきたのが、増大する値上げのインパクトである。
値上げ予定の領域は益々広がり、大幅な円安で輸入物価へも上昇圧力がかかりつつある。
値上げのダメージの大小が、今後の消費回復の行方を左右しそうだ。
JMR消費INDEXは、2022年4月時点で66.7となり、前月よりも上昇した。近似曲線は、上昇トレンドを維持している(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数をみると、販売関連10指標(チェーンストア売上高除く)は前月並みを維持した。他方、支出関連は3指標中2指標が改善に転じており、改善の側が優勢の状況となっている(図表2)。
消費支出の伸びは、実質では2ヶ月連続のマイナスだが、名目ではプラスに戻している(図表4)。
10大費目別では、2022年4月は、実質ではプラスとマイナスの費目数が拮抗し、名目ではプラスの側が優勢に転じている(図表5)。
販売現場では、小売業全体の売上は2ヶ月連続でプラスとなった。
チャネル別でもプラスの動きが優勢となっている。提示した主要6業態中5業態で、プラスが続いている。マイナスが続いているのは、ホームセンターだけである(図表9、図表10)。
外食売上は、全体では5ヶ月連続でプラスとなった。
業態別でも、ファーストフード、ファミリーレストラン、パブ・居酒屋の3業態全てで、2ヶ月連続のプラスである(図表18)。
新車販売では、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともにマイナスが続いている(図表11)。
家電製品出荷については、2022年4月時点で、黒物家電と白物家電ともに、総じて不振である。情報家電では、スマートフォンは7ヶ月ぶりに改善したが、ノートPCは不振が続いている(図表12、図表13、図表14)。
新設住宅着工戸数は、全体では14ヶ月連続でプラスとなった。
利用関係別では、分譲住宅・一戸建てと分譲住宅・マンションでプラスが続く一方、持家ではマイナスが続いている(図表15)。
三大都市圏別の推移をみると、持家は全ての地域でマイナスが続いている。他方、マンションは全ての地域でプラスとなっている(図表16)、図表17。
雇用については、有効求人倍率と完全失業率ともに改善が続いている(図表6)。
収入についても、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額の全てでプラスが続いている(図表7)。
消費マインドについても、改善の動きが鮮明になっている。景気ウォッチャー現状判断DIは上昇が続き、消費者態度指数も上昇に転じている(図表8)。
総合すると、消費は改善の動きが鮮明になっている。
消費支出など支出全般はプラスに転じている。日常生活財では改善の動きが続く一方、耐久財では低迷が続いている。
雇用環境と収入環境はともに改善が続いており、マインドも改善に転じている。コロナ新規陽性者数は減少傾向を保っている。外国人観光客への入国制限の緩和も進みつつある。旅行に対する需要喚起策も今後は積極化の方向だ。
消費回復を阻む最大の要因となってきているのが、増大する値上げのインパクトである。
この先、値上げが予定される領域は益々広がりつつある。大幅な円安も進行しており、輸入物価へは更なる上昇圧力がかかりつつある。
今後、質・量両面で値上げが加速し、家計による支出切り詰めが顕在化すると、見えてきた消費回復の動きに水を差しかねない。
値上げのダメージの大小が、消費回復の行方を左右しそうだ。
特集:2022年、値上げをどう乗り切るか
特集1.値上げの価格戦略
- MNEXT 眼のつけどころ 値上げの時代の生き残りマーケティング(2022年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- MNEXT 値上げをチャンスに変える(2008年)
- MNEXT 不況下でもうまい価格対応で伸びる企業(2009年)
- 戦略ケース 値上げと小売業の競争 物価上昇で小売とメーカーは新競争時代に突入(2022年)
- 戦略ケース 値上げの現場 花王―戦略的値上げで収益性向上なるか(2022年)
- 戦略ケース 利益率低下により再値上げに踏み切ったキユーピー(2008年)
- 戦略ケース 値上げか値下げか-消費低迷下の価格戦略(2008年)
- マーケティングFAQ 「需要の価格弾力性」とは
特集2.値上げが企業の収益に与えるインパクトを分析
特集3.消費者は値上げをどう受け止めたのか?
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 2019春の食品値上げラッシュ!値上げ方法で明暗(2019年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 値上げの影響を受けやすい牛乳、受けにくいマヨネーズ(2013年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 食品の値上げと安全性(2008年)
- MNEXT 下がる給料、増える生活費(2008年)
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ 凍結した消費マインドを溶解させるマーケティング―解除後の消費増加シナリオ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ コロナ禍の訪問営業は時代遅れなのか?―「会うのが、いちばん。」(2021年)
- アフターコロナの営業戦略 激変市場に対応した小商圏型営業活動のすすめ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 行動経済学ベースのマーケティングのはじめ方(2020年)
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