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消費回復の動きは一旦足踏み状態となっている。
支出全般はマイナスとなっており、特に実質での悪化が目立つ。日常生活財では外食で改善の動きが続いているが、小売販売は業態間で好不調の格差がみられる。耐久財は総じて低迷している。
収入環境は改善が続いているが、雇用環境は方向感が定まらず、マインドは足許で悪化している。
コロナ新規陽性者数は6月下旬を底に急増している。旅行に対する需要喚起策が中止・延期となっており、今夏の旅行・レジャーの回復の行方にも影を落としている。
円安の動きにも転換の兆しは見えず、値上げのインパクトも、暫くは尾を引きそうだ。
消費にとって、コロナと値上げは、回復への動きを阻む二重の足かせとなりそうだ。
JMR消費INDEXは、2022年5月は66.7と、横ばいとなっている。近似曲線は、上昇トレンドを維持している(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数の動きも、前月4月と変わりがない(図表2)。
消費支出の伸びは、名目と実質ともにマイナスである(図表4)。
10大費目別では、2022年5月は、名目ではプラスの側がわずかに優勢だが、実質ではマイナスの側が優勢となっている(図表5)。
販売現場では、小売業全体の売上は3ヶ月連続でプラスとなった。
チャネル別では、業態間で好不調の格差がみられる。百貨店とコンビニはプラスで伸び率は上昇を続け、ドラッグストアは息長くプラスを保っている。他方で、スーパーと家電大型専門店はマイナスに転じ、ホームセンターはマイナスが長期化している(図表9、図表10)。
外食売上は、全体では6ヶ月連続でプラスとなった。
業態別でも、ファーストフード、ファミリーレストラン、パブ・居酒屋の3業態全てで、3ヶ月連続のプラスである。特にパブ・居酒屋では468.9%と、極めて高い伸びを示している(図表18)。
新車販売では、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともにマイナスが続いている(図表11)。
家電製品出荷については、2022年5月は、黒物家電、白物家電、情報家電のいずれも、総じて不振である(図表12、図表13、図表14)。
新設住宅着工戸数は、全体では15ヶ月ぶりにマイナスに転じた。
利用関係別では、分譲住宅・マンションと持家でマイナスとなった。分譲住宅・一戸建てはわずかにプラスである(図表15))。
三大都市圏別の推移をみると、持家もマンションともに、全ての地域でマイナスとなっている(図表16、図表17)。
雇用については、方向感が定まらない。有効求人倍率では改善が続いている一方、完全失業率は悪化している(図表6)。
収入については、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額の全てでプラスが続いている(図表7。
消費マインドについては、足許で悪化の動きがみられる。2022年6月は、景気ウォッチャー現状判断も消費者態度指数も、ともに低下している(図表8)。
総合すると、消費回復の動きは一旦足踏み状態となっている。
消費支出など支出全般はマイナスとなっており、特に実質での悪化が目立つ。
日常生活財では外食で改善の動きが続いているが、小売販売は業態間で好不調の格差がみられる。耐久財は総じて低迷している。
収入環境は改善が続いているが、雇用環境は方向感が定まらず、マインドは足許で悪化している。
コロナ新規陽性者数は6月下旬を底に増加傾向に転じ、7月に入り急増した。7月21日には、過去最高を更新している。全国旅行支援や都民割などの旅行に対する需要喚起策も、一旦中止・延期となっている。期待されていた今夏の旅行・レジャーの回復にも、影を落としている。
円安の動きにも、今のところ転換の兆しは見えない。値上げのインパクトも、暫くは尾を引きそうだ。
消費にとって、コロナと値上げは、回復への動きを阻む二重の足かせとなりそうだ。
特集:2022年、値上げをどう乗り切るか
特集1.値上げの価格戦略
- MNEXT 眼のつけどころ 値上げの時代の生き残りマーケティング(2022年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- MNEXT 値上げをチャンスに変える(2008年)
- MNEXT 不況下でもうまい価格対応で伸びる企業(2009年)
- 戦略ケース 値上げと小売業の競争 物価上昇で小売とメーカーは新競争時代に突入(2022年)
- 戦略ケース 値上げの現場 花王―戦略的値上げで収益性向上なるか(2022年)
- 戦略ケース 利益率低下により再値上げに踏み切ったキユーピー(2008年)
- 戦略ケース 値上げか値下げか-消費低迷下の価格戦略(2008年)
- マーケティングFAQ 「需要の価格弾力性」とは
特集2.値上げが企業の収益に与えるインパクトを分析
特集3.消費者は値上げをどう受け止めたのか?
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 2019春の食品値上げラッシュ!値上げ方法で明暗(2019年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 値上げの影響を受けやすい牛乳、受けにくいマヨネーズ(2013年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 食品の値上げと安全性(2008年)
- MNEXT 下がる給料、増える生活費(2008年)
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ 凍結した消費マインドを溶解させるマーケティング―解除後の消費増加シナリオ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ コロナ禍の訪問営業は時代遅れなのか?―「会うのが、いちばん。」(2021年)
- アフターコロナの営業戦略 激変市場に対応した小商圏型営業活動のすすめ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 行動経済学ベースのマーケティングのはじめ方(2020年)
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