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消費は先行き不透明感がつきまとう。
支出全般はプラスだが、値上げの悪影響が一部で鮮明となっている。日常生活財のうち、小売販売では業態間の格差が定着しつつある。外食では今後、コロナ感染拡大第7波の影響が懸念される。耐久財では、低迷が長期化しつつある。
雇用環境と収入環境では悪材料は認められないが、マインドの悪化が続いている。
コロナ感染拡大第7波の収束見通しも、先延ばしとなっている。9月以降、新たに1,000品目超で値上げが予定されるなど、値上げのインパクトも年内一杯は続く。
消費はこの先、コロナと値上げの悪影響を引きずりそうだ。
JMR消費INDEXは、2022年6月も50超えの水準を維持している。近似曲線は、上昇トレンドを維持している(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、販売関連の10指標は5月と変わりがない(図表2)。
消費支出の伸びは、名目と実質ともにプラスへ戻している(図表4)。
10大費目別では、2022年6月は、名目ではプラスの側が優勢だが、実質ではプラスの側のわずかな優勢に止まる。光熱・水道や食料では、値上げの悪影響が鮮明となっている(図表5)。
販売現場では、小売業全体の売上は4ヶ月連続のプラスである。
チャネル別では、業態間での好不調の格差が続いている。百貨店、コンビニ、ドラッグストアはプラスが続いており、家電大型専門店は再びプラスへ戻している。他方で、スーパーとホームセンターはマイナスが続いている(図表9、図表10)。
外食売上は、全体では7ヶ月連続のプラスである。
業態別でも、ファーストフード、ファミリーレストラン、パブ・居酒屋の3業態全てで、4ヶ月連続のプラスである(図表18)。
新車販売では、軽乗用車は14ヶ月ぶりにプラスに転じたが、乗用車(普通+小型)はマイナスが続いている(図表11)。
家電製品出荷については、2022年6月は、黒物家電は総じてマイナス、白物家電も一部の財を除き概ねマイナスが続いている。情報家電は、スマートフォンは3ヶ月ぶりにプラスに転じたが、ノートPCはマイナスが長期化している(図表12、図表13、図表14)。
新設住宅着工戸数は、全体では2ヶ月連続のマイナスである。
利用関係別では、分譲住宅・一戸建てはプラスが続いており、分譲住宅・マンションも再びプラスへ戻している。他方で、持家はマイナスが続いている(図表15)。
三大都市圏別の推移をみると、持家は、全ての地域でマイナスとなっている。マンションでは、近畿圏とその他の地域はプラスに戻したが、首都圏と中部圏ではマイナスが続いている(図表16、図表17)。
雇用では悪化の気配はみられない。完全失業率は横ばい、有効求人倍率は改善が続く(図表6)。
収入は、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額の全てでプラスが続いている(図表7)。
消費マインドについては、悪化が続いている。景気ウォッチャー現状判断DIも消費者態度指数もともに、2ヶ月連続で低下している(図表8)。
総合すると、消費は足許で改善の動きが見られるが、先行きには不透明感がつきまとう。
消費支出など支出全般はプラスだが、一部では値上げの悪影響が鮮明となっている。
日常生活財のうち、小売販売では業態間での好不調の格差が続き、定着しそうな気配だ。
外食では改善の動きが続いているが、7月に入り本格化したコロナ感染拡大第7波の影響が今後どう現れてくるかは未知数だ。
耐久財では、一部で明るい動きがみられるものの、概ね低迷が長期化しつつある。
雇用環境と収入環境では今のところ悪材料は認められない。他方で、マインドの悪化が続いている。
コロナ感染拡大第7波の収束の見通しは先延ばしとなりつつある。今後の消費にどう影響してくるのか、気がかりなところだ。
一部報道では9月以降、1,000品目超で値上げが予定される。値上げのインパクトも、年内一杯は続く見込みだ。
消費はこの先、コロナと値上げの悪影響を引きずりそうだ。
特集:2022年、値上げをどう乗り切るか
特集1.値上げの価格戦略
- MNEXT 眼のつけどころ 値上げの時代の生き残りマーケティング(2022年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- MNEXT 値上げをチャンスに変える(2008年)
- MNEXT 不況下でもうまい価格対応で伸びる企業(2009年)
- 戦略ケース 値上げと小売業の競争 物価上昇で小売とメーカーは新競争時代に突入(2022年)
- 戦略ケース 値上げの現場 花王―戦略的値上げで収益性向上なるか(2022年)
- 戦略ケース 利益率低下により再値上げに踏み切ったキユーピー(2008年)
- 戦略ケース 値上げか値下げか-消費低迷下の価格戦略(2008年)
- マーケティングFAQ 「需要の価格弾力性」とは
特集2.値上げが企業の収益に与えるインパクトを分析
特集3.消費者は値上げをどう受け止めたのか?
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 2019春の食品値上げラッシュ!値上げ方法で明暗(2019年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 値上げの影響を受けやすい牛乳、受けにくいマヨネーズ(2013年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 食品の値上げと安全性(2008年)
- MNEXT 下がる給料、増える生活費(2008年)
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ 凍結した消費マインドを溶解させるマーケティング―解除後の消費増加シナリオ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ コロナ禍の訪問営業は時代遅れなのか?―「会うのが、いちばん。」(2021年)
- アフターコロナの営業戦略 激変市場に対応した小商圏型営業活動のすすめ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 行動経済学ベースのマーケティングのはじめ方(2020年)
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