半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2022年08月26日

月例消費レポート 2022年8月号
消費は先行き不透明感がつきまとう-引きずるコロナと値上げの悪影響
主任研究員 菅野 守

※図表の閲覧には会員ログインが必要です。

 消費は先行き不透明感がつきまとう。
 支出全般はプラスだが、値上げの悪影響が一部で鮮明となっている。日常生活財のうち、小売販売では業態間の格差が定着しつつある。外食では今後、コロナ感染拡大第7波の影響が懸念される。耐久財では、低迷が長期化しつつある。
 雇用環境と収入環境では悪材料は認められないが、マインドの悪化が続いている。
 コロナ感染拡大第7波の収束見通しも、先延ばしとなっている。9月以降、新たに1,000品目超で値上げが予定されるなど、値上げのインパクトも年内一杯は続く。
 消費はこの先、コロナと値上げの悪影響を引きずりそうだ。

 JMR消費INDEXは、2022年6月も50超えの水準を維持している。近似曲線は、上昇トレンドを維持している(図表1)。

 INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、販売関連の10指標は5月と変わりがない(図表2)。

 消費支出の伸びは、名目と実質ともにプラスへ戻している(図表4)。

 10大費目別では、2022年6月は、名目ではプラスの側が優勢だが、実質ではプラスの側のわずかな優勢に止まる。光熱・水道や食料では、値上げの悪影響が鮮明となっている(図表5)。

 販売現場では、小売業全体の売上は4ヶ月連続のプラスである。

 チャネル別では、業態間での好不調の格差が続いている。百貨店、コンビニ、ドラッグストアはプラスが続いており、家電大型専門店は再びプラスへ戻している。他方で、スーパーとホームセンターはマイナスが続いている(図表9図表10)。

 外食売上は、全体では7ヶ月連続のプラスである。

 業態別でも、ファーストフード、ファミリーレストラン、パブ・居酒屋の3業態全てで、4ヶ月連続のプラスである(図表18)。

 新車販売では、軽乗用車は14ヶ月ぶりにプラスに転じたが、乗用車(普通+小型)はマイナスが続いている(図表11)。

 家電製品出荷については、2022年6月は、黒物家電は総じてマイナス、白物家電も一部の財を除き概ねマイナスが続いている。情報家電は、スマートフォンは3ヶ月ぶりにプラスに転じたが、ノートPCはマイナスが長期化している(図表12図表13図表14)。

 新設住宅着工戸数は、全体では2ヶ月連続のマイナスである。

 利用関係別では、分譲住宅・一戸建てはプラスが続いており、分譲住宅・マンションも再びプラスへ戻している。他方で、持家はマイナスが続いている(図表15)。

 三大都市圏別の推移をみると、持家は、全ての地域でマイナスとなっている。マンションでは、近畿圏とその他の地域はプラスに戻したが、首都圏と中部圏ではマイナスが続いている(図表16図表17)。

 雇用では悪化の気配はみられない。完全失業率は横ばい、有効求人倍率は改善が続く(図表6)。

 収入は、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額の全てでプラスが続いている(図表7)。

 消費マインドについては、悪化が続いている。景気ウォッチャー現状判断DIも消費者態度指数もともに、2ヶ月連続で低下している(図表8)。

 総合すると、消費は足許で改善の動きが見られるが、先行きには不透明感がつきまとう。

 消費支出など支出全般はプラスだが、一部では値上げの悪影響が鮮明となっている。

 日常生活財のうち、小売販売では業態間での好不調の格差が続き、定着しそうな気配だ。

 外食では改善の動きが続いているが、7月に入り本格化したコロナ感染拡大第7波の影響が今後どう現れてくるかは未知数だ。

 耐久財では、一部で明るい動きがみられるものの、概ね低迷が長期化しつつある。

 雇用環境と収入環境では今のところ悪材料は認められない。他方で、マインドの悪化が続いている。

 コロナ感染拡大第7波の収束の見通しは先延ばしとなりつつある。今後の消費にどう影響してくるのか、気がかりなところだ。

 一部報道では9月以降、1,000品目超で値上げが予定される。値上げのインパクトも、年内一杯は続く見込みだ。

 消費はこの先、コロナと値上げの悪影響を引きずりそうだ。


図表を含めた完全版を読む

完全版を読むには無料の会員登録が必要です。

特集:2022年、値上げをどう乗り切るか

特集1.値上げの価格戦略

特集2.値上げが企業の収益に与えるインパクトを分析

特集3.消費者は値上げをどう受け止めたのか?


参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツプレミアム会員サービス戦略ケースの教科書Online


新着記事

2024.11.20

24年9月の「旅行業者取扱高」は19年比で75%に

2024.11.19

24年10月の「景気の先行き判断」は2ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.11.19

24年10月の「景気の現状判断」は8ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.11.18

企業活動分析 アルファベット(グーグル)の23年12月期は、グーグルサービスがけん引し売上過去最高を更新

2024.11.18

企業活動分析 アマゾンの23年12月期はAWSがけん引し営業利益前年比3倍へ

2024.11.15

24年9月の「現金給与総額」は33ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.11.14

24年9月の「消費支出」は5ヶ月連続のマイナスに

2024.11.14

24年9月の「家計収入」は5ヶ月ぶりのマイナス

2024.11.13

24年9月は「完全失業率」、「有効求人倍率」とも改善

2024.11.12

企業活動分析 ローソンの23年2月期は、「地域密着×個客・個店主義」徹底し増収増益

2024.11.12

企業活動分析 セブン&アイHDの24年2月期は海外事業の影響で減収も過去最高益を更新

2024.11.11

24年10月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のプラス

2024.11.08

消費者調査データ No.416 レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア

2024.11.07

企業活動分析 楽天グループの23年12月期は27期連続増収も、モバイルへの投資で4期連続の赤字

2024.11.07

24年9月の「新設住宅着工戸数」は5ヶ月連続のマイナス

2024.11.06

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向

2024.11.05

企業活動分析 ファンケルの24年3月期算は国内売上がけん引し、3期ぶりの増収増益へ

2024.11.05

企業活動分析 コーセーの23年12月期は、国内好調も中国事業低迷で増収減益に

2024.11.01

成長市場を探せ コロナ禍の落ち込みから再成長する惣菜食市場(2024年)

2024.10.31

月例消費レポート 2024年10月号 消費は緩やかな改善が続いている-政治が消費回復のリスクに

2024.10.31

消費からみた景気指標 24年8月は6項目が改善

週間アクセスランキング

1位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

2位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

3位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

4位 2024.02.02

成長市場を探せ コロナ禍乗り越え再び拡大するチョコレート市場(2024年)

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area