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消費は改善基調を保っている。
支出全般はプラスを保っている。小売販売もプラスが続き、外食でも改善の動きが続いている。耐久財でも改善の動きが徐々にみられつつある。
雇用環境と収入環境は改善基調を保っているが、マインドは方向感が定まっていない。
コロナの水際対策緩和と「全国旅行支援」のスタートを機に、インバウンド含め、観光需要は急激な盛り上がりをみせている。
急速に進んだ円安はインバウンド需要喚起のメリットと、値上げインパクト持続のデメリットの両面をはらんでいる。両者の綱引きが、今後の景気と消費の行方を左右しそうだ。
JMR消費INDEXは2022年7月も前月同様66.7であり、横ばいとなっている。近似曲線は、上昇トレンドを維持している(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、7月は、支出関連では3指標中2指標が改善し、預貯金は悪化に転じた。販売関連では10指標中6指標が改善し、新設住宅着工戸数が改善に転じている(図表2)。
消費支出の伸びは名目と実質ともにプラスであり、伸び率の値も上昇している(図表4)。
10大費目別では、2022年7月は、名目ではプラスが8費目、実質ではプラスが7費目を占め、いずれもプラスの側が優勢である。光熱・水道は名目ではプラスだが実質ではマイナス、食料のプラス幅は名目では5%を超えるが実質では1%を割り込み、値上げの悪影響が続いている(図表5)。
販売現場では、小売業全体の売上は6ヶ月連続のプラスである。
チャネル別では、業態間での好不調の格差が続いている(図表9、図表10)。
外食売上は、全体では9ヶ月連続のプラスである。
業態別でも、ファーストフード、ファミリーレストラン、パブ・居酒屋の3業態全てで、6ヶ月連続のプラスである(図表18)。
新車販売では、2022年9月時点で、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともにプラスに転じている(図表11)。
家電製品出荷については、白物家電は総じて2ヶ月連続でプラスが続いている。黒物家電は一部の財を除き概ねマイナスが続いている。情報家電は、ノートPCは17ヶ月ぶりにプラスに戻したが、スマートフォンは3ヶ月ぶりにマイナスに転じている(図表12、図表13、図表14)。
新設住宅着工戸数は、全体では4ヶ月ぶりにプラスに転じた。
利用関係別では、持家はマイナスが続いている一方、分譲住宅・一戸建てはプラスが続いており、分譲住宅・マンションも2022年8月には再びプラスに戻している(図表15)。
三大都市圏別の推移をみると、持家は、全ての地域でマイナスである。マンションは、中部圏でマイナスが続いている一方、首都圏と近畿圏は2022年8月に大きくプラスへと戻しており、その他の地域もプラスが続いている(図表16、図表17)。
雇用は改善が続いている。完全失業率は低下し、有効求人倍率は上昇を続けている(図表6)。
収入も、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額ともに8ヶ月連続のプラスである(図表7)。
消費マインドについて2022年9月には、景気ウォッチャー現状判断DIは上昇を続ける一方、消費者態度指数は再び低下に転じており、方向感が定まっていない(図表8)。
総合すると、消費は引き続き改善基調を保っている。
消費支出など支出全般はプラスを保っており、10大費目別でもプラスの側が優勢である。
日常生活財のうち、小売販売全体の売上はプラスが続き、外食でも改善の動きが続いている。
耐久財でも改善の動きが徐々にみられつつある。新車販売が総じてプラスに転じ、白物家電では改善の動きが続いている。新設住宅着工では首都圏や近畿圏でマンションの改善が際立つ。
雇用環境と収入環境は改善基調を保っている。ただし、マインドについては足許で方向感が定まっていない。
10月11日より、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策が緩和されるとともに、東京都を除く46道府県で旅行需要喚起策「全国旅行支援」もスタートしている。
両施策実施後初の週末には、東京都心の繁華街や全国各地の観光地で、外国人観光客も含めて、コロナ禍前のにぎわいを取り戻しつつある、との報道も目立っている。
9月下旬以降急速に進んでいる円安は、インバウンド需要喚起のメリットと、値上げインパクト持続のデメリットの両面をはらんでいる。
米国側の金融引き締めと日本側の金融緩和のスタンスがともに崩れない限り、円安基調は当分続くと見込まれる。円安のメリットとデメリットとの綱引きが、今後の景気と消費の行方を左右しそうだ。
特集:2022年、値上げをどう乗り切るか
特集1.値上げの価格戦略
- MNEXT 眼のつけどころ 値上げの時代の生き残りマーケティング(2022年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- MNEXT 値上げをチャンスに変える(2008年)
- MNEXT 不況下でもうまい価格対応で伸びる企業(2009年)
- 戦略ケース 値上げと小売業の競争 物価上昇で小売とメーカーは新競争時代に突入(2022年)
- 戦略ケース 値上げの現場 花王―戦略的値上げで収益性向上なるか(2022年)
- 戦略ケース 利益率低下により再値上げに踏み切ったキユーピー(2008年)
- 戦略ケース 値上げか値下げか-消費低迷下の価格戦略(2008年)
- マーケティングFAQ 「需要の価格弾力性」とは
特集2.値上げが企業の収益に与えるインパクトを分析
特集3.消費者は値上げをどう受け止めたのか?
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 2019春の食品値上げラッシュ!値上げ方法で明暗(2019年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 値上げの影響を受けやすい牛乳、受けにくいマヨネーズ(2013年)
- 「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 食品の値上げと安全性(2008年)
- MNEXT 下がる給料、増える生活費(2008年)
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ 凍結した消費マインドを溶解させるマーケティング―解除後の消費増加シナリオ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ コロナ禍の訪問営業は時代遅れなのか?―「会うのが、いちばん。」(2021年)
- アフターコロナの営業戦略 激変市場に対応した小商圏型営業活動のすすめ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 行動経済学ベースのマーケティングのはじめ方(2020年)
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