半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2020年09月28日

特集:コロナ禍の消費を読む
消費動向速報 裾野広がるネット購買 「GoTo」で旅行関連支出も伸びる
主任研究員 菅野守


図表の閲覧には有料の会員登録が必要です。
登録済みの方はこちらからログインしてお読みください。

 コロナ禍で、消費動向が変化しています。その変化をいち早く把握し、ビジネスに役立てるために、官公庁などが発表する統計データから気になる動向をご紹介します。


「家計消費状況調査」:裾野の広がりをみせるネット購買伸長の動き

1.更に勢いを増すネット購買

 総務省公表の「家計消費状況調査」によると、二人以上世帯でのインターネットを利用した支出総額は、引き続き上昇傾向を保っている。

 最近2か月で特に注目できるのは、「宿泊料、運賃、パック旅行費(インターネット上での決済)」だ。2020年5月時点では下位5位に入っていたが、2020年6月には上位5位へと入ったことである。金額は3倍以上に増えた。旅行・レジャー関連支出は、コロナ下で顕著なダメージを受けていただけに、この変化は際立っている(図表1)。


図表1.品目別 インターネットを利用した支出金額

ログインして図表をみる


 コロナ下で、ネット購買は引き続き伸びを続けており、その勢いも更に増している。インターネットを利用した支出総額の前年同月比伸び率の推移をみても、2020年2月と3月の2か月間を除き、プラスを保っている。2020年3月以降、伸び率の値は、上昇を続けている。


2.「Go Toトラベル」キャンペーンを後押しにネット経由での旅行関連支出が上位へ

 「宿泊料、運賃、パック旅行費(インターネット上での決済)」への支出金額が急上昇した背景としては、6月16日に「Go Toトラベルキャンペーン」の概要が発表され、「できれば夏休みの早い段階での事業開始を目指す」との旨が、閣議後の会見の場で赤羽・国土交通大臣より示されたことが挙げられるだろう(その後、「Go To トラベル」キャンペーンは、海の日を含む2020年7月の4連休が始まる前日、7月22日から開始となった)。

 10月からは、これまで対象外となっていた東京都もGo To トラベルの対象となるため、さらなる増加が予想できる。


3.ネット購買伸長の裾野はさらに広がる

 2020年5月と6月に、ネット購買が格段に伸びた品目に、着目してみる。

 上位10品目は「家具」「家電」「出前」「医薬品」「ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど」「食料品」「書籍」「電子書籍」「紳士用衣類」「飲料」だった。「ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど」と「紳士用衣類」は、2020年4月と5月の時点では前年同月比伸び率の値が+50%未満であったが、2020年6月に+50%以上となったものである(図表2)。


図表2.最近2か月間でインターネットを利用した支出金額の増加が顕著な品目

ログインして図表をみる


 前回2020年5月時点と同様、6月時点でも、「出前」「食料品」「飲料」といった外出自粛でネット化が進んだ品目や、「医薬品」をはじめとするコロナ感染防止対策のための品目、「家具」や「家電」など住環境の充実に寄与する品目、「書籍」「電子書籍」「ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど」等々のコンテンツ類など宅内余暇の充実に向けた品目などで、ネット購買は引き続き伸びている。

 更に、「紳士用衣類」など、これまではネット購買の動きが目立っていなかった品目でも、足許でネット購買が活発化している。

 ネット購買伸長の動きは、コロナ下で伸びてきた代表的分野を越えて、更に裾野が広がりつつあるようだ。



特集:コロナ禍の消費を読む


参照コンテンツ


ネクスト戦略ワークショップ講演録


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツプレミアム会員サービス戦略ケースの教科書Online


お知らせ

2024.12.19

JMR生活総合研究所 年末年始の営業のお知らせ

新着記事

2024.12.20

消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも

2024.12.19

24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「広告売上高」は、6ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「旅行業者取扱高」は19年比で83%に

2024.12.18

提言論文 「価値スタイル」で選ばれるブランド・チャネル・メディア

2024.12.18

24年11月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.12.18

24年11月の「景気の現状判断」は9ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.12.17

24年10月の「現金給与総額」は34ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.12.16

企業活動分析 SGHDの24年3月期はロジスティクス事業不振で2期連続の減収減益

2024.12.16

企業活動分析 ヤマトHDの24年3月期はコスト削減追いつかず3期連続減益

2024.12.13

成長市場を探せ コロナ禍の壊滅的状況からV字回復、売上過去最高のテーマパーク(2024年)

2024.12.12

24年10月の「家計収入」は再びプラスに

2024.12.12

24年10月の「消費支出」は6ヶ月連続のマイナスに

2024.12.11

提言論文 価値スタイルによる生活の再編と収斂

2024.12.10

24年10月は「有効求人倍率」は改善、「完全失業率」は悪化

2024.12.09

企業活動分析 江崎グリコ株式会社 23年12月期は国内外での売上増などで増収増益達成

2024.12.09

企業活動分析 日清食品ホールディングス株式会社 24年3月期は価格改定浸透で増収、過去最高益達成

 

2024.12.06

消費者調査 2024年 印象に残ったもの 「大谷選手」「50-50」、選挙も五輪も超えてホームラン!

2024.12.05

24年11月の「乗用車販売台数」は3ヶ月ぶりのマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

2位 2024.04.05

消費者調査データ ノンアルコール飲料(2024年4月版) 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」

3位 2024.12.04

提言論文 本格消費回復への転換-価値集団の影響力拡大

4位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area