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コロナ禍で、消費動向が変化しています。その変化をいち早く把握し、ビジネスに役立てるために、官公庁などが発表する統計データから気になる動向をご紹介します。
1.更に勢いを増すネット購買
総務省公表の「家計消費状況調査」によると、二人以上世帯でのインターネットを利用した支出総額は、引き続き上昇傾向を保っている。
最近2か月で特に注目できるのは、「宿泊料、運賃、パック旅行費(インターネット上での決済)」だ。2020年5月時点では下位5位に入っていたが、2020年6月には上位5位へと入ったことである。金額は3倍以上に増えた。旅行・レジャー関連支出は、コロナ下で顕著なダメージを受けていただけに、この変化は際立っている(図表1)。
図表1.品目別 インターネットを利用した支出金額
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コロナ下で、ネット購買は引き続き伸びを続けており、その勢いも更に増している。インターネットを利用した支出総額の前年同月比伸び率の推移をみても、2020年2月と3月の2か月間を除き、プラスを保っている。2020年3月以降、伸び率の値は、上昇を続けている。
2.「Go Toトラベル」キャンペーンを後押しにネット経由での旅行関連支出が上位へ
「宿泊料、運賃、パック旅行費(インターネット上での決済)」への支出金額が急上昇した背景としては、6月16日に「Go Toトラベルキャンペーン」の概要が発表され、「できれば夏休みの早い段階での事業開始を目指す」との旨が、閣議後の会見の場で赤羽・国土交通大臣より示されたことが挙げられるだろう(その後、「Go To トラベル」キャンペーンは、海の日を含む2020年7月の4連休が始まる前日、7月22日から開始となった)。
10月からは、これまで対象外となっていた東京都もGo To トラベルの対象となるため、さらなる増加が予想できる。
3.ネット購買伸長の裾野はさらに広がる
2020年5月と6月に、ネット購買が格段に伸びた品目に、着目してみる。
上位10品目は「家具」「家電」「出前」「医薬品」「ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど」「食料品」「書籍」「電子書籍」「紳士用衣類」「飲料」だった。「ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど」と「紳士用衣類」は、2020年4月と5月の時点では前年同月比伸び率の値が+50%未満であったが、2020年6月に+50%以上となったものである(図表2)。
図表2.最近2か月間でインターネットを利用した支出金額の増加が顕著な品目
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前回2020年5月時点と同様、6月時点でも、「出前」「食料品」「飲料」といった外出自粛でネット化が進んだ品目や、「医薬品」をはじめとするコロナ感染防止対策のための品目、「家具」や「家電」など住環境の充実に寄与する品目、「書籍」「電子書籍」「ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど」等々のコンテンツ類など宅内余暇の充実に向けた品目などで、ネット購買は引き続き伸びている。
更に、「紳士用衣類」など、これまではネット購買の動きが目立っていなかった品目でも、足許でネット購買が活発化している。
ネット購買伸長の動きは、コロナ下で伸びてきた代表的分野を越えて、更に裾野が広がりつつあるようだ。
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