コロナ禍で、消費動向が変化しています。その変化をいち早く把握し、ビジネスに役立てるために、官公庁などが発表する統計データから気になる動向をご紹介します。
基礎的支出はプラスの伸びを保ち続ける一方、選択的支出の伸びは低下を続け、消費支出に対する選択的支出の構成比も、低下に歯止めがかからない。
基礎的支出では、感染対策支出や宅内充実支出の伸びが続いている。中でも、宅内食(自宅での食事)の充実に関連した飲料や調味料などの支出の伸びが目立っている。選択的支出では、教育関連サービス支出とクルマ関連サービス支出は、プラスの伸びを示している数少ない項目となっている。旅行・レジャー、イベント、外食などへの支出を中心に低迷が続いている。
1.続く選択的支出のウェイト低下
2020年10月以降、基礎的支出はプラスの伸びを保ち続ける一方、選択的支出の伸びはマイナスに沈んだまま、伸び率の値も低下し続けている(図表1)。
図表1.基礎的支出と選択的支出の前年同月比伸び率の推移
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消費支出に対する選択的支出の構成比も、2020年10月をピークに、低下に歯止めがかからない(図表2)。
図表2.基礎的支出と選択的支出の構成比の推移
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2.宅内食の充実が支える基礎的支出の伸び
基礎的支出では、感染対策支出や宅内充実支出の伸びが続いている。2020年10月~12月にかけては特に、宅内食の充実に寄与する品目への支出が目立っている。
図表3は、2020年10月から12月にかけて、基礎的支出の中で特に伸びている品目を示している。伸びている内訳をみると、「炭酸飲料」「コーヒー」「焼酎」などの飲料(酒類も含む)が3項目、「他の調味料」や「つゆ・たれ」などの調味料が2項目、「保健用消耗品」や「他の家事用消耗品のその他」などの感染対策支出が2項目、「他の冷暖房用器具」や「電気冷蔵庫」などの住設機器が2項目、「信仰・祭祀費」といった冠婚葬祭支出が1項目となっている。特に、飲料の3項目と調味料の2項目は、宅内食(自宅での食事)の充実に関連して伸びている支出といえるだろう。
図表3.基礎的支出における前年同月比伸び率の上位品目
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図表3は、基礎的支出の品目のうち、2020年10月~12月のいずれかで月あたり支出金額が500円以上、前年同月比伸び率の値が+10%以上となった計10項目を、2020年12月時点での伸び率の大きい順に列挙した。
3.選択的支出の中でプラスを保ち続ける教育関連サービス支出とクルマ関連サービス支出
旅行・レジャー、イベント、外食などへの支出を中心に低迷が続いている選択的支出の中で、教育関連サービス支出とクルマ関連サービス支出は、プラスの伸びを示している数少ない項目となっている。
2020年10月以降一貫して大幅なプラスが続いているのは、「高校補習教育・予備校」と「住宅関係負担費」の2品目である。2020年12月に大幅なプラスとなっているのは、「授業料等:私立大学」「他の月謝類」「自動車整備費」の3品目である。「高校補習教育・予備校」「授業料等:私立大学」「他の月謝類」の3項目は教育関連サービス支出であり、「自動車整備費」はクルマ関連サービス支出である。
他方で、2020年10月以降一貫して大幅なマイナスが続いているのは、計9項目である。その内訳をみると、「外国パック旅行費」「国内パック旅行費」「航空運賃」「鉄道運賃」「有料道路料」「映画・演劇等入場料」の6項目は旅行・レジャーやイベント関連の支出といえる。「飲酒代」は外食への支出、「スポーツクラブ使用料」も外出を伴う余暇支出である。「幼児教育費用」は、教育関連サービス支出の中でマイナスが続いている数少ない項目となっている。
図表4は、2019年10月~2019年12月と2020年10月~2020年12月の計6ヶ月の間に1回以上、月あたり支出金額が500円以上となったものを対象に、「全ての月で伸び率がプラスで、 2020年10月~2020年12月のいずれかで伸び率の値が+20%以上となった5項目」と、「全ての月で伸び率の値が-20%以下となった9項目」の計14項目を選別の上、 それらを分類し列挙している。
図表4.選択的支出における前年同月比伸び率の上位品目
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