半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2021年06月01日

消費動向速報
急回復をみせる選択的支出―家計調査3月分より
主任研究員 菅野守


図表の閲覧には有料の会員登録が必要です。
登録済みの方はこちらからログインしてお読みください。

 コロナ禍で、消費動向が変化しています。その変化をいち早く把握し、ビジネスに役立てるために、官公庁などが発表する統計データから気になる動向をご紹介します。


選択的支出の伸びは前年同月比で急回復しており、支出全体における構成比も上昇を続けている。
一昨年同月比でも選択的支出の伸びのマイナス幅は急速に縮小を続けており、プラスへの転換も十分視野に入りつつある。
選択的支出の回復は、教養娯楽関連、情報通信関連、教育関連などで際立っており、その中にはコロナ前の水準を大きく上回る伸びをみせているものも多い。

1.際立つ選択的支出の回復

 基礎的支出と選択的支出ともに、2021年3月の伸びは前年同月比でプラスに転じた。特に選択的支出で、伸びは急回復している(図表1)。

図表1.基礎的支出と選択的支出の前年同月比伸び率の推移

ログインして図表をみる


 選択的支出の構成比も、2020年12月を底に、上昇を続けている(図表2)。

図表2.基礎的支出と選択的支出の構成比の推移

ログインして図表をみる


 更に、コロナ前の時期との比較のため、2021年1月から2021年3月にかけての一昨年同月比伸び率の推移をみると、基礎的支出、選択的支出、消費支出のいずれでも伸び率は上昇を続けており、2021年3月に基礎的支出と消費支出の伸びはプラスとなっている。伸び率の変化に着目すると、選択的支出の伸びの上昇幅が最も大きい。

図表3.基礎的支出、選択的支出、消費支出の前年同月比伸び率と一昨年同月比伸び率

ログインして図表をみる


 コロナウイルスの感染拡大が本格化し始めた2020年3月以降、1年を通して選択的支出の不振が続いてきた。しかし2021年に入ってからは、マイナス幅は急速に縮小を続けている。このまま回復が順調に進めば、一昨年同月比でプラスに転じる可能性も、十分視野に入ってくるだろう。


2.教養娯楽関連、情報通信関連、教育関連などで際立つ選択的支出の回復

 選択的支出の回復は、教養娯楽関連、情報通信関連、教育関連などで際立っており、その中にはコロナ前の水準を大きく上回る伸びをみせているものも多い。

 選択的支出に類する項目のうち、前年同月比と一昨年同月比のいずれでも伸びがプラスとなっているものは、計18項目存在している。その内訳は、教養娯楽6項目、交通・通信4項目、その他の消費支出3項目、教育3項目、食料2項目である(図表4)。

図表4.選択的支出で顕著な改善がみられる項目

ログインして図表をみる


 これら18項目の中で、一昨年同月比伸び率が+30%を超えているものは、教養娯楽では「他の教養娯楽用品のその他」(カメラ・デジタルカメラ付属品、バレエや日本舞踊などの舞台用衣装など)、「パソコン」、「インターネット接続料」(プロバイダの加入料・使用料・月会費・接続料やモバイルWi-Fi通信料など含む)の3項目、交通・通信では「自動車等関連用品」、「携帯電話機」の2項目、その他の消費支出では「国内遊学仕送り金」(学校教育法に定める学校及び国内の予備校在学者に対する仕送り金。旅行費,クラブ活動費なども含む)の1項目、教育では「中学校補習教育」(学習塾月謝、家庭教師への月謝(謝礼金を含む)、補習のための通信添削の費用(教材を含む)など)の1項目、食料では「学校給食」の1項目の、計8項目である。そのうち、「パソコン」、「インターネット接続料」、「携帯電話機」の3項目は、情報通信関連の機器やサービスに類するものである。



参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツプレミアム会員サービス戦略ケースの教科書Online


お知らせ

2024.12.19

JMR生活総合研究所 年末年始の営業のお知らせ

新着記事

2024.12.20

消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも

2024.12.19

24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「広告売上高」は、6ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「旅行業者取扱高」は19年比で83%に

2024.12.18

提言論文 「価値スタイル」で選ばれるブランド・チャネル・メディア

2024.12.18

24年11月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.12.18

24年11月の「景気の現状判断」は9ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.12.17

24年10月の「現金給与総額」は34ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.12.16

企業活動分析 SGHDの24年3月期はロジスティクス事業不振で2期連続の減収減益

2024.12.16

企業活動分析 ヤマトHDの24年3月期はコスト削減追いつかず3期連続減益

2024.12.13

成長市場を探せ コロナ禍の壊滅的状況からV字回復、売上過去最高のテーマパーク(2024年)

2024.12.12

24年10月の「家計収入」は再びプラスに

2024.12.12

24年10月の「消費支出」は6ヶ月連続のマイナスに

2024.12.11

提言論文 価値スタイルによる生活の再編と収斂

2024.12.10

24年10月は「有効求人倍率」は改善、「完全失業率」は悪化

2024.12.09

企業活動分析 江崎グリコ株式会社 23年12月期は国内外での売上増などで増収増益達成

2024.12.09

企業活動分析 日清食品ホールディングス株式会社 24年3月期は価格改定浸透で増収、過去最高益達成

 

2024.12.06

消費者調査 2024年 印象に残ったもの 「大谷選手」「50-50」、選挙も五輪も超えてホームラン!

2024.12.05

24年11月の「乗用車販売台数」は3ヶ月ぶりのマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

2位 2024.04.05

消費者調査データ ノンアルコール飲料(2024年4月版) 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」

3位 2024.12.04

提言論文 本格消費回復への転換-価値集団の影響力拡大

4位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area