コロナ禍で、消費動向が変化しています。その変化をいち早く把握し、ビジネスに役立てるために、官公庁などが発表する統計データから気になる動向をご紹介します。
平均消費性向は21年8月頃を境に回復から低迷に転じている。
家計黒字も足許で再び積み上がりつつある。中でも、預貯金で顕著だ。
こうした傾向からも、消費回復の足踏み状況がうかがわれる。
1.平均消費性向は低迷へ転じる
2020年10月辺りを底に上昇傾向にあった平均消費性向は、2021年8月辺りを境に低迷へと転じている。
総務省公表の「家計調査」をもとに、二人以上世帯のうち勤労者世帯における平均消費性向の推移をみると、2020年10月辺りを底に近似曲線は上昇トレンドに転じたが、2021年9月辺りでその勢いはやや鈍化しつつある(図表1)。
図表1.平均消費性向の推移
ログインして図表をみる
前年同月と比較すると、2021年3月から7月にかけてはプラスが続いていた。だが、2021年8月以降はマイナスが続いており、その低迷ぶりが目立ってきている(図表2)。
図表2.平均消費性向の前年同月差
ログインして図表をみる
再び積み上がる家計黒字
家計黒字の積み上がりも、預貯金で際立っている。
前年同月差は、2021年3月から7月にかけてマイナスが続いてきたが、8月以降は再びプラスに転じている(図表3)。
図表3.黒字の変化
ログインして図表をみる
最近2ヶ月における黒字の各構成要素の変化をみると、2021年10月と11月のいずれでも、預貯金純増のプラス幅がもっとも大きい。2021年10月から11月にかけてのプラス幅は、黒字のプラス幅の2倍以上となっている(図表4)。
図表4.最近2ヶ月における黒字の各構成要素の変化
ログインして図表をみる
消費性向の低迷や、黒字が再び積み上がっていることからも、消費回復の足踏み状況がうかがわれる。
参照コンテンツ
- MNEXT 2022年の消費の読み方-価値拡張マーケティング(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)(2021年)
- JMRからの提案 月例消費レポート 2021年10月号 マインド好転で消費の先行きに明るい展望(2021年)
- 企画に使えるデータ・事実 新設住宅着工戸数
おすすめ新着記事
消費者調査データ サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも
調査結果を見ると、「Amazon プライムビデオ」が全項目で首位となった。「プライムビデオ」は認知率で認知率は8割強、利用経験では唯一4割強、今後の利用意向でも3割を超えている。
成長市場を探せ コロナ禍の壊滅的状況からV字回復、売上過去最高のテーマパーク
コロナ下では長期休業や入場制限などを強いられ、壊滅的ともいえる打撃を被ったテーマパーク市場、しかし、コロナが5類移行となった2023年には、売上高は8,000億円の大台を突破、過去最高を記録した。
消費者調査データ シャンプー(2024年11月版) 「ラックス」と「パンテーン」、激しい首位争い
調査結果を見ると、「ラックス(ユニリーバ)」と「パンテーン(P&G)」が複数の項目で僅差で首位を競り合う結果となった。コロナ禍以降のセルフケアに対する意識の高まりもあって、シャンプー市場では多様化、高付加価値化が進んでいる。ボタニカルやオーガニック、ハニーやアミノ酸などをキーワードに多様なブランドが競うシャンプー市場の今後が注目される。