―見直される地域インフラとしての価値
少子高齢化と過疎化が進むなかで、地方の「鉄道」と「駅」は存亡の危機にある。地域内での輸送人員の低下は、鉄道路線の廃止とバスへの転換を促すが、地域住民からの鉄道存続の要望は根強い。本稿では、地域インフラとしての「鉄道」と「駅」の価値について考察する。
鉄道インフラの地域間での格差は際立っている。
運輸政策研究機構公表の『地域交通年報』(平成24・25年度)をもとに、以下では、都道府県別に、面積当たり営業キロや面積当たり駅数などの、地域内での鉄道インフラの密度の大小に着目する。
面積当たり営業キロの上位10県には、大都市圏に属する都府県があがる。面積当たり営業キロの上位10県中、山口県を除く9都府県は、面積当たり駅数でも上位10県に入る。面積当たり営業キロの下位10県の中には、九州・沖縄が3県、東北が2県含まれる。面積当たり営業キロの下位10県中、面積当たり駅数でも下位10県に入るのは、沖縄県、北海道、宮崎県、鹿児島県、秋田県、山形県の6道県である。
面積当たり鉄道営業キロと面積当たり駅数で見た地域格差には、鉄道インフラの過密と過疎が色濃く反映される。鉄道インフラが過疎な地域ほど、鉄道の利便性は低くなると予想されるだろう。その影響は、鉄道利用者数に現れる可能性が考えられる。
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