ポイントカードシステムのマーケティング |
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戦略研究チーム | |
【要約】
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1.企業のポイントカードシステムの導入 | |||||||||||||
(1)ポイントカードシステムとは何かポイントカードシステムとは、企業が利用者に対し、商品・サービスの利用の程度に応じてポイントを発行し、蓄積したポイント数に応じて何らかの便益を提供する顧客サービスの仕組みである。通常、企業がユーザーの商品・サービス購入金額に応じて数パーセント分のポイントを付与し、ユーザーは、商品等の購入を通じて蓄積したポイントを、1ポイント=1円相当で発行元の商品・サービスの購入時に利用したり、他の商品・サービスのポイントに交換することができる。企業は、ポイントカードを事実上の値引きや他の商品・サービスとの交換に利用しており、近年は運輸や航空を始め、様々なサービス業などに広がっている。また、ポイントの利用範囲は、これまでは発行元企業に限定されていたが、他企業間の移行・交換や電子マネーへの交換もできるようになってきている。*1 (2)ポイントカードシステムの運用状況
ポイントカードの運営方法は企業によって異なっている。今回取り上げた18社では、還元率は0.1%~25%と大きな幅があり、有効期間は1~2年(ただし、期間内にカードを利用すれば無期限で繰り越せる、年度毎に随時消滅、など細かい条件が付記されるケースが多い)、異業種企業との提携など、企業によって異なる傾向がみられる。 (3)導入目的、事業業績とポイントカードシステム
第一は、既存顧客の優良化である。蓄積ポイント数に応じて還元率を高め(1,000ポイントであれば1,000円相当、2,000ポイントであれば3,000円相当など)、利用金額が多い顧客を優遇するケースで、百貨店のポイントカードによくみられる。 第二は、既存顧客の来店促進である。ドラッグストアなど単価の低い業種では、来店頻度を高めることが業績の向上につながる。ユーザーがより頻繁に利用しやすくするためにポイントが活用される。 第三は、新規顧客の獲得である。他企業とのポイント交換を認めることにより、相互の顧客を融通しあい、顧客の幅を拡大させるケースである。TSUTAYAとANA、JALとローソンなどが主な提携例である。 このように、発行企業は、主に三つの目的からポイントカードを導入し、業績の拡大を目指している。ポイント発行企業の発行枚数と事業業績との関連をみると、ポイント発行枚数が多い(1,500万枚以上)企業において、発行枚数の伸びに伴い売上高が伸びる傾向が確認できる(図表2)。発行枚数を増やしユーザー規模を拡大することが、業績拡大のために重要である。
(2007.03) *1 経済産業省も、消費者保護の観点から、企業が販促活動等に利用する「ポイント」システムに関して、同省担当審議官の私的研究会として発行企業の関係者を集めた「企業ポイント研究会」を2月23日に発足させ、6月まで関連法の見直しを含めたルール作りを進める方針を明らかにした(2007年2月15日付朝日新聞他)。
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この提言コンテンツは、弊社オリジナル研究、「ポイントカードシステム利用実態調査」の結果をもとにして作成されています。
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