半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2014.03)
顧客接点のリ・デザイン -次世代マーケティングの提案
5.顧客の捉え方とセグメントのリ・デザイン
-筋書きづくりによる遠近透視


本コンテンツの全文は、会員サービスでのご提供となっております。
ご利用には会員登録が必要です。
ご登録済みの方は、こちらから全文をご利用ください。
ご登録はこちらをご覧ください。


(1)不確実性を増す近未来
 現在はますます不確実な時代にある。現在進行している少子化・晩婚化などに伴う人口減少と単身世帯増加による世帯数増加がどのような影響を市場に及ぼすのか予測することが難しい。現在の日本の人口は約1億2,800万人と言われる。国立社会保障・人口問題研究所は、人口が2030年には1億1,522万人と約1,300万人が減少すると予測している。約15年間の間に神奈川県と埼玉県のふたつの県がなくなる計算である。人口減少により市場規模が縮小するという単純な構造でもなさそうである。一方で、東京への人の移動は止まらない。東京の人口は増加し、東京集中・都市化が進んでいる。東京がますます大きな市場になり、舛添都政の結果によって、東京の姿が大きく変わる。直近に起こることでは、消費税の導入がある。2014年4月に消費税8%になり、2015年10月に消費税10%になる。日本は諸外国から比べても消費税の標準税率が低い。韓国で10%、中国で17%、イギリスで20%、デンマークや北欧のノルウェーやスウェーデンで25%である。政策の違いにより一概には言えないものの、日本の消費税は2020年、2030年に向けて税率UPすると言われている。この消費税導入により、短期的には消費の落ち込みはあるものの、10年20年先を見るとどのよう影響を及ぼすのか読むことができない。ビール業界で見れば、消費税の他に酒税改定の動きもある。第3のビールの酒税があがるのか、通常のビールの酒税が下がるのか、どのようなパターンになるのかによって、大きくビール類市場の構成も変わり、中長期的な消費者の需要構造も変わっていく。さらに、毎年徐々にあがっている厚生年金保険料の引き上げなど消費者の負担はますます増えていく。その一方で、2020年の東京オリンピック開催によるオリンピック前の好景気の影響、オリンピック後の反動など、不確実な要素が多過ぎる。

(2)近視眼的見方による失敗
 近視眼的な見方でシナリオを読み誤ったのがシャープである。2012年度のシャープの売上高は2兆4558億円、純利益は3,760億円の赤字であった。経営危機が注目された。現在、2014年3月期連結決算の業績予想を上方修正し、本業のもうけを示す営業利益が、従来予想の800億円から1,000億円になるとの見通しを発表した。通期の売上高も2兆9,000億円との見通しを示し、従来予想(2兆7,000億円)から引き上げた。スマートフォンやタブレット端末向けの中小型液晶パネルなどが好調なためだ。黒字転換し、経営再建がうまくいっている。大型液晶パネルを中心とする投資で失敗し、中小型液晶パネルで回復するという皮肉な結果になっている。
 シャープは、98年に「2005年にすべてのテレビを液晶にする」と宣言。液晶ディスプレーの大型化と量産化に経営資源を集中していく。そして、01年に液晶テレビを「AQUOS」ブランドとして発売し、07年まで増収増益を続ける。2009年には大規模な投資を行い、第10世代マザーガラスを使用する世界最新鋭の堺工場を稼働させている。しかし、液晶テレビの売上低迷、低価格などによりテレビ事業が赤字化し、堺工場への投資がさらに足をひっぱる形になった。シャープの失敗は、アプリケーション開発の先細りなど様々言われているが、大型液晶パネルへの読み間違いが大きいと考えられる。短期的には液晶テレビを中心する薄型テレビの拡大があった。一方では、長期的には半導体と同じように液晶も低価格化し、利益が取れなくなるとも言われ、さらに日本の住宅事情から大型液晶の需要は大きくならないとも言われていた。つまり、短期的な視点で大規模投資をした結果、長期的なトレンドとは逆の戦略をとってしまったことが失敗である。シャープに限らず不確実な時代において短期的な近視眼的見方をしたために、失敗・苦戦しているケースは多い。



 本コンテンツの全文は、メンバーシップサービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧にはメンバーシップサービス会員(有料)ご登録が必要です。

メンバーシップサービス会員ご登録についてはこちらをご覧ください。
メンバーシップサービス会員の方は、下記をクリックして全文をご利用ください。


【基調論文】 顧客接点のリ・デザイン -次世代マーケティングの提案
  1.品質差別化へのリ・デザイン-セグメント開発とシグナル開発
  2.多元チャネルのリ・デザイン-多元流通ネットワークの再定義
  3.リアル小売の売場力開発-選択、購入、入手の即時化
  4.消費者ネットワークへのアプローチ戦略
  5.顧客の捉え方とセグメントのリ・デザイン-筋書きづくりによる遠近透視

新着記事

2024.11.15

24年9月の「現金給与総額」は33ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.11.14

24年9月の「消費支出」は5ヶ月連続のマイナスに

2024.11.14

24年9月の「家計収入」は5ヶ月ぶりのマイナス

2024.11.13

24年9月は「完全失業率」、「有効求人倍率」とも改善

2024.11.12

企業活動分析 ローソンの23年2月期は、「地域密着×個客・個店主義」徹底し増収増益

2024.11.12

企業活動分析 セブン&アイHDの24年2月期は海外事業の影響で減収も過去最高益を更新

2024.11.11

24年10月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のプラス

2024.11.08

消費者調査データ No.416 レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア

2024.11.07

企業活動分析 楽天グループの23年12月期は27期連続増収も、モバイルへの投資で4期連続の赤字

2024.11.07

24年9月の「新設住宅着工戸数」は5ヶ月連続のマイナス

2024.11.06

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向

2024.11.05

企業活動分析 ファンケルの24年3月期算は国内売上がけん引し、3期ぶりの増収増益へ

2024.11.05

企業活動分析 コーセーの23年12月期は、国内好調も中国事業低迷で増収減益に

2024.11.01

成長市場を探せ コロナ禍の落ち込みから再成長する惣菜食市場(2024年)

2024.10.31

月例消費レポート 2024年10月号 消費は緩やかな改善が続いている-政治が消費回復のリスクに

2024.10.31

消費からみた景気指標 24年8月は6項目が改善

2024.10.30

24年8月の「広告売上高」は、4ヶ月連続のプラス

2024.10.30

24年9月の「ファミリーレストラン売上高」は31ヶ月連続プラス

2024.10.30

24年9月の「ファーストフード売上高」は43ヶ月連続のプラスに

週間アクセスランキング

1位 2024.10.29

MNEXT やはり起こった「雪崩」現象―「岩盤保守の正体」

2位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

3位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

4位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

5位 2024.09.24

MNEXT 価値で捉え、群れ集団を狙えー2025年のマーケティング

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area