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(1)不確実性を増す近未来
現在はますます不確実な時代にある。現在進行している少子化・晩婚化などに伴う人口減少と単身世帯増加による世帯数増加がどのような影響を市場に及ぼすのか予測することが難しい。現在の日本の人口は約1億2,800万人と言われる。国立社会保障・人口問題研究所は、人口が2030年には1億1,522万人と約1,300万人が減少すると予測している。約15年間の間に神奈川県と埼玉県のふたつの県がなくなる計算である。人口減少により市場規模が縮小するという単純な構造でもなさそうである。一方で、東京への人の移動は止まらない。東京の人口は増加し、東京集中・都市化が進んでいる。東京がますます大きな市場になり、舛添都政の結果によって、東京の姿が大きく変わる。直近に起こることでは、消費税の導入がある。2014年4月に消費税8%になり、2015年10月に消費税10%になる。日本は諸外国から比べても消費税の標準税率が低い。韓国で10%、中国で17%、イギリスで20%、デンマークや北欧のノルウェーやスウェーデンで25%である。政策の違いにより一概には言えないものの、日本の消費税は2020年、2030年に向けて税率UPすると言われている。この消費税導入により、短期的には消費の落ち込みはあるものの、10年20年先を見るとどのよう影響を及ぼすのか読むことができない。ビール業界で見れば、消費税の他に酒税改定の動きもある。第3のビールの酒税があがるのか、通常のビールの酒税が下がるのか、どのようなパターンになるのかによって、大きくビール類市場の構成も変わり、中長期的な消費者の需要構造も変わっていく。さらに、毎年徐々にあがっている厚生年金保険料の引き上げなど消費者の負担はますます増えていく。その一方で、2020年の東京オリンピック開催によるオリンピック前の好景気の影響、オリンピック後の反動など、不確実な要素が多過ぎる。(2)近視眼的見方による失敗
近視眼的な見方でシナリオを読み誤ったのがシャープである。2012年度のシャープの売上高は2兆4558億円、純利益は3,760億円の赤字であった。経営危機が注目された。現在、2014年3月期連結決算の業績予想を上方修正し、本業のもうけを示す営業利益が、従来予想の800億円から1,000億円になるとの見通しを発表した。通期の売上高も2兆9,000億円との見通しを示し、従来予想(2兆7,000億円)から引き上げた。スマートフォンやタブレット端末向けの中小型液晶パネルなどが好調なためだ。黒字転換し、経営再建がうまくいっている。大型液晶パネルを中心とする投資で失敗し、中小型液晶パネルで回復するという皮肉な結果になっている。シャープは、98年に「2005年にすべてのテレビを液晶にする」と宣言。液晶ディスプレーの大型化と量産化に経営資源を集中していく。そして、01年に液晶テレビを「AQUOS」ブランドとして発売し、07年まで増収増益を続ける。2009年には大規模な投資を行い、第10世代マザーガラスを使用する世界最新鋭の堺工場を稼働させている。しかし、液晶テレビの売上低迷、低価格などによりテレビ事業が赤字化し、堺工場への投資がさらに足をひっぱる形になった。シャープの失敗は、アプリケーション開発の先細りなど様々言われているが、大型液晶パネルへの読み間違いが大きいと考えられる。短期的には液晶テレビを中心する薄型テレビの拡大があった。一方では、長期的には半導体と同じように液晶も低価格化し、利益が取れなくなるとも言われ、さらに日本の住宅事情から大型液晶の需要は大きくならないとも言われていた。つまり、短期的な視点で大規模投資をした結果、長期的なトレンドとは逆の戦略をとってしまったことが失敗である。シャープに限らず不確実な時代において短期的な近視眼的見方をしたために、失敗・苦戦しているケースは多い。
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