(2014.03)
顧客接点のリ・デザイン -次世代マーケティングの提案
3.リアル小売の売場力開発
-選択、購入、入手の即時化
(1)リアル小売はショートデシジョン支援業
ネット購買の定着により、買い物が消滅する。店頭で店員に商品説明を受け、自宅に戻りネットで注文し、1日後に自宅で配送してもらう購買スタイルが当たり前になってきている。ネット小売は商品選択と購入と商品の入手を分離させ、リアル小売の役割を大きく変化させた。リアル小売は商品選択と購入と入手がその場で完結、即時化する。ネット小売が目的買い中心の購買行動である一方で、リアル小売の売場の役割は衝動買いを喚起して、時間価値を提供することが重要な役割になる。リアル小売は衝動買いの接点となることが、唯一の存在意義となっていく。現在、伊勢丹新宿店に代表させる都心百貨店は売上が好調である。その理由は衝動買い比率が高く、売場で衝動買いを促進させていることが好調の要因である。
(2)売場力格差
伊勢丹新宿店の14年1月の売上高前年比は117.7%と二桁成長を続けている。13年3月の改装後、13年4月~14年1月までの累計売上の対前年比は112.4%と驚異的な成長を続けている。東横線と副都心線の相互乗り入れなどの追い風はあるものの、大規模な改装が成功している。改装のポイントは「顧客が店内で足を踏み入れた瞬間からワクワク、ドキドキする売場を構築」、「モノだけでなく店内を楽しみながら、知識を深められる「コト」提案を充実」というものである。具体的には陳列スペースを15%削り(店頭在庫を12%減らす)、店内に21ヶ所の情報発信スペースを設置し、旬の商品やライフスタイルを提案できるようにした。その象徴となる売場が「リ・スタイルTOKYO」である。東京の最新スタイリングをどこよりも早く紹介するために、ブランド横断で衣料や雑貨を編集する売場である。全てが東京基準、東京発信がコンセプトである。
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