第3部では、高層マンションに住む垂直ライフスタイル先行層に注目し、変化する食生活とそれに対応するための食品流通について紹介します。第1部でもご紹介した通り、郊外一戸建てに住んで都心に通勤する平面型のライフスタイルから、職場に近い高層マンションに住む垂直型のライススタイルに変わってきています。垂直ライフスタイルの先行層が住む高層マンションエリアでは、スーパー、コンビニ、百貨店といった様々なチャネルが集積しており、食品流通に変化を及ぼしています。そのため、メーカーは従来の業種、業態別の対応では、顧客を十分にカバーしきれなくなってきています。
新たなライフスタイル、食スタイルに対して、どんな戦略を立てて、どう対応していくべきなのか。その鍵となる重層戦略について、いくつかのポイントを挙げて解説していきます。
一般的に高層マンションと呼ばれる20階建て以上のマンションは60メートルほどの高さになります。ここ10年で、800棟の高層マンションが建設され、22万戸が提供されました。みなさんも建設ラッシュが続いていることは、実感されていると思います(図表1)。
今後も高層マンションの数は増え続けていくと予想されます。国内で建設されている高層マンションのうち、45%は東京にあり、特に湾外沿いに多く見られます。いかに東京に集中しているかということが分かると思います。豊洲や麻布十番、天王洲などだけでなく、首都圏全域に広がっています。神奈川県の武蔵小杉や川崎、埼玉県の川口、浦和、千葉県のベイエリアなどでも多くの高層マンションが建てられています。
このトレンドが今後、どう変わっていくでしょうか。湾岸エリアで増えていくことに変化はなさそうですが、渋谷や青山なども再開発地域として供給量が増えていく予定です。ほかにも、足立区や台東区でも建設が増加する見通しです。
高層マンションの増加で、そこに住む人たちのライフスタイルにも変化が出ています。居住者は自宅からだいたい10分圏内という狭い範囲で暮らすという垂直型のライフスタイルにシフトしています。私たちは、このライフスタイルが今後、市場をリードしていくと考えています。
総務省の統計によると、11階以上のマンション居住者は全国で6%です。東京都内では、その比率は13%と大きくなります。つまり、東京都に住む1,350万人のうち、約170万人がこの垂直型のライフスタイルを送っていることになります(図表2)。弊社で毎年、調査分析し、出版している「消費社会白書」では、こういった高層マンションに居住したいと希望する人が全体の20%ほどに上っています。
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第9回 ネクスト戦略ワークショップ 講演録