半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2020年12月21日

ネクスト戦略ワークショップ講演録
コロナな時代の注目マーケティング事例
ディレクター 大澤博一


 コロナによる変化にどう対応すべきか。多くの企業が苦しんでいます。ここでは、「セグメント」「ブランディング」「マーケティングチャネル」のマーケティング基本三柱をうまく活用して成功している企業事例を紹介したいと思います。


セグメントの重要性

 セグメントの事例として取り上げるのは、マンダムの男性用化粧品「ルシード」です。このブランドは、市場をうまく世代で区分しています。男性用化粧品には特性があります。若いときに使っていたブランドをそのままずっと使い続けるというものです(図表1)。


図表1.ルシード 世代セグメントでブランドエクステンション
図表

 ルシードは1989年に、当時の20代30代の断層世代、新人類をターゲットとして発売されました。今ではその断層世代、新人類は40代50代になっています。ルシードは、この当初使っていた世代をずっとターゲット設定しています。

 もともとは、スタイリング剤からスタートしました。そこから、40代向けに白髪用のヘアカラーを出したり、シワ改善用のスキンケアシリーズを展開したりしています。CMには浅野忠信さんを起用し、今の断層世代、新人類の生活全般に入り込むようなラインナップになっています。ルシードは、ブランドエクステンションの成功事例ということができます。

 ふたつ目が、エバラ食品の「プチッと鍋」です。これまでの鍋つゆは、ファミリー向けのパウチ型3~4人前商品が主流でした。このタイプの商品はかなり売れていましたが、同時に各社が商品を投入し、競争も激化していました。一方で、こういった商品に対しての不満も存在していました。まず、3~4人前なので、家族揃わないと食べられないということや、量が多すぎるという点です。ここに目を付けたのが、エバラ食品です。

 その結果、誕生したのが1人用の「プチッと鍋」です。2013年初年度の売上は、8.6億円、翌年は37.2億円と4倍に増加しました。コロナの影響から宅内食が増加傾向にあり、好調です。この「プチッと鍋」のポイントは、若者、高齢者、子なし夫婦といったセグメントに対応して、商品を開発したことです。1個1人前のポーションタイプで、品揃えをどんどん拡大しています。発売当初は鍋だけでしたが、2015年にはステーキ用、16年にはうどん用などを発売しました。

 中心となるチャネルは、食品スーパーです。在宅勤務が増えたため、昼食用のうどんを発売しました。時代に合わせて商品を提案していることも、好調の要因ということができるのではないでしょうか。

 このふたつの事例のように、市場をどのように区分していくのかということは、非常に重要です。では、ブランドはどんなふうに広げていったらいいのかという点について、これから紹介したいと思います。


続きを読む
「市場全体を包囲するブランディングが鍵」

続きを読むには有料の会員登録が必要です。

本コンテンツは、2020年11月5日に開催したネクスト戦略ワークショップ「コロナな時代のココロ」の講演内容を再編集したものです。

「消費社会白書2021」のご案内

消費社会白書2021 コロナな時代のココロ
書籍イメージ

独自調査をもとに今後の消費動向を分析する「消費社会白書」の最新刊です。2020年は新型コロナの影響で消費者の生活が一変しました。本書では、コロナ禍の価値観や消費行動、食生活などを分析しています。

本書で網羅しきれなかった100以上の設問を、性別や年代、ライフステージなど14の基本属性を軸に集計した基本集計表も販売中です。


特集:コロナ禍の消費を読む


参照コンテンツ


ネクスト戦略ワークショップ講演録


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツプレミアム会員サービス戦略ケースの教科書Online


お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

2024.04.22

JMR生活総合研究所 ゴールデンウイーク期間中の営業のお知らせ

新着記事

2024.04.26

消費からみた景気指標 24年2月は10項目がプラスに

2024.04.26

24年3月の「全国百貨店売上高」は25ヶ月連続のプラス、インバウンドや物産展が好調

2024.04.26

24年3月の「ファーストフード売上高」は37ヶ月連続のプラスに

2024.04.26

24年3月の「ファミリーレストラン売上高」は25ヶ月連続プラス

2024.04.25

月例消費レポート 2024年4月号 消費は足許で持ち直しの動きが見られる-「いつも通り」の消費の風景が戻ってくるようになれば消費回復の見通しもより確かなものに

2024.04.24

24年3月の「チェーンストア売上高」は既存店で13ヶ月連続のプラス、食料品がけん引

2024.04.24

24年3月の「コンビニエンスストア売上高」は4ヶ月連続のプラスに

2024.04.23

24年2月の「旅行業者取扱高」は19年比で78%に

2024.04.23

24年2月の「広告売上高」は、3ヶ月連続のマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.04.12

成長市場を探せ ビスケット市場、4年連続プラスで初の4,000億超えに(2024年)

2位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

3位 2022.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2022年5月版) 「レッドブル」「モンスター」認知率拡大、上位の牙城揺るがず

4位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area