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公開日:2022年05月24日

特集:2022年、値上げをどう乗り切るか

原材料高、原油価格高騰に端を発する値上げは様々な商品分野に波及し、コロナ禍で持ち直しつつあった消費マインドも再悪化が懸念されている。

メーカーにとっても、値上げの巧拙が業績を左右する重要な局面だ。消費者ニーズを捉えて付加価値を高め、値上げ後も選択してもらえるような価格戦略・ブランドづくりが必要になってくるだろう。

この値上げラッシュを乗り切り、物価上昇・消費低迷の市場環境下でも成長につなげるためのヒントを、当社が蓄積したケース・理論から紹介する。


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2022年は大きな経済の転換期になりそうです。ようやくコロナ感染パンデミックからエンデミックへの転換か、と思いきやロシアのウクライナ侵攻、そして、世界的供給制限による値上げへと日本経済へのマイナスインパクトが続いています。しかし、これらは表面的な現象で深部では、新たな経済、新しいグローバルな経済秩序に移行しているようです。日本経済もこの変化に対応していかざるを得ないと思います。しかし、新しい経済秩序の構図は...

原材料価格の高騰にともない、花王が主力商品の値上げに踏み切った。トイレタリー業界での値上げは異例だ。同社は今回の値上げを「戦略的値上げ」と位置づけ、「メリーズ」は約10%の単純値上げ、「アタックZERO」はダウンサイジング等、商品ごとに四つの施策を打ち出している。しかし、他社と足並みが揃わない中での値上げはリスキーといえる。花王の価格戦略が抱える課題を、他社のスタンスと比較しながらみていく。


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特集1.値上げの価格戦略

コロナ禍で、「ワンランク上」の高級品が売れている。30年ぶりの株高も加わり、「バブル」消費の再来を思い起こさせる。「上」へ昇っていく市場だ。他方でホテルや外食など「下へ」降りていく市場もある。このように転換期にある2021年の市場を、昇降する「エレベーター」のような「市場衰退期」の「脱皮期」と予測する。コロナ禍からの脱出を見据え、品質差別化のマーケティングを提案したい。...

石油などの原料や、小麦など加工食品素材の値上がりを起点とする物価上昇が続いている。全国消費者物価指数は、2007年10月以来、対前年プラスを連続記録している。素材や原料の物価が上昇しているのは、中国やインドなどの経済成長により需要が拡大し、さらに、投機的なマネーが商品取引市場に流れ込んでいるからである。この結果、今後についても約79%の人々が「物価が上がっている」との見通しを持っている。...

不況下でも伸びる企業は飛躍する。バブル崩壊以後、日本の企業は三度の景気後退を経験している。日本の大手消費財メーカー約50社の業績を調べると、この三度を増収増益で乗り切っている企業はおよそ30%前後である。業績の差は、市場や技術などの産業の成熟度よりも個々の企業の経営努力の差による。しかし、2008年度に後退局面に入ったとみられる戦後14度目の不況は、世界同時不況などの呼称は様々だが、より厳しい情況が予想され...

キユーピーは5月22日、2008年11月期の中間業績予想を下方修正した。連結決算で、営業利益を1月時点の予想より7億円減少(72億円→65億円)、経常利益も同じく7億円減少(70億円→63億円)、純利益は3.5億円減少(33億円→29.5億円)とそれぞれ10%程度の下方修正となった。一方で、売上高は、9億円増加(2,326億円→2,335億円)となる見通しであるため、利益率が低下することになる。  同社ではその理由を...

値上げによる影響で消費者の消費マインドが急速に冷え込んでいる。当社の7月調査では、現在の日本の景気について89%が良くないと感じていることが分かった。昨年の同時期の調査では49%であり、この1年で急速に消費者のマインドが冷え込んでいることがうかがえる。その結果、消費支出も08年2月から対前年マイナスに転じている。

「需要の価格弾力性」とは、価格を上げ下げする変化率に対し需要量がどれほど変化するかの比率を指したものです。右下がりのため、需要の価格弾力性はマイナスの値になるため、絶対値が用いられます。通常、価格弾力性の値が1を超えると弾力的であるといい、1未満の場合は非弾力的であるといった表現をします。これは、価格弾力性が1の場合は、価格の変動率と同じ水準で需要が変動することを示す(弾力性が均衡する)からです。

特集2.値上げが企業の収益に与えるインパクトを分析

昨年後半以降、原油相場を皮切りに商品市況の高騰が続いたことで、生活に身近な商品が値上がりし、家計に及ぼすマイナスの影響も懸念されている。こうした値上げの動きが企業収益に及ぼす影響について、経済分析による検証を試みた。

特集3.消費者は値上げをどう受け止めたのか?

消費税率10%への増税を控えたこの春、食品メーカー各社が相次ぎ値上げを行った。価格を変えずに容量を減らした「実質値上げ」も目につく昨今、消費者の値上げへの受け止め方を調査した。単純値上げか、実質値上げか、容量を増やしつつの値上げか――。値上げ方法の巧拙によって明暗分かれる結果がみえてきた。

2013年7月ごろから現在までに値上げが実施された主な食品11品目について、値上げが実施されたことに対する認知率をみる。最も認知されていたのは牛乳(72.8%)である。次いで食パン(71.5%)、小麦粉(70.1%)、マヨネーズ(68.9%)が続く。比較的購入頻度が高いと思われる食品が上位にあがっている。

昨年後半以降、原油や穀物価格の上昇を理由とした値上げが相次いでいる。山崎製パンは食パンの24年ぶりの値上げに踏み切り、キユーピーでの17年ぶりにマヨネーズを値上げした。今年に入っても牛乳やマヨネーズなどが再値上げするなど、値上げラッシュはさらに激しさを増している。

この秋、パンやめん類、乳製品などを中心に食品メーカー各社が再び値上げに動いた。昨年来、消費者物価指数は上がり続け、もはや大半の消費者が「1年前に比べて物価があがっている」という実感をもっているし、「今後も物価は上昇する」と見込んでいる。もし物価の上昇に合わせて、収入と資産価格も上昇するならば、支出を抑制する必要はないし、むしろ、将来のさらなる物価高を予想して「今買った方が得」という選択をするのが合理的である。しかし実際には...


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