半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

カテゴリーマネジメントという言葉をよく聞くのですが、どういうものですか?また具体的にすすめるにはどうしたらよいですか?

 カテゴリーマネジメント(以下CM)とは、ブライアン・ハリスが提唱した概念で、その定義は

「カテゴリーマネジメントとは、カテゴリーを戦略的ビジネス単位として管理していくことであり、消費者に価値を提供することに集中することによって、業績を改善していくこと」

となっています。要は、小売業とメーカー(卸)が共同して、特定カテゴリーの収益を最大化するように取り組んでいこうとするものです。

 具体的なすすめ方として、つぎのようなステップが提案されています(図表1)。

  1. 前提条件の統一(関与者の意思統一)
  2. カテゴリーの環境把握
  3. パートナー選定と目標値の設定
  4. 店頭展開

図表1 カテゴリーマネジメントの展開ステップ
図表

 しかし、実際はうまくいっているケースは少ないといわれています(アメリカでは取り組んだ企業の60%が失敗、挫折したという報告もある)。

 多くの企業でCMが標榜されていますが、現実には、つぎのようなケースが多くなっています。

  1. 春秋の定番棚割の見直しにしか活用されていない
  2. 売上の半数を占める定番外売場での展開は別ルールで実施される傾向が強い
  3. 結果として、定番棚割は崩壊し、カテゴリー全体でみると、生産性が低く差別性のない売場になってしまっている

 そんななかで自社なりのCMを確立しようとしている企業もみられます。例えば、味の素は、定番棚割の活性化を目指した「カテマス」とクロスマーチャンダイジングによる定番外売場づくりを提案する「マックス」というふたつの武器を営業活動に活かそうとしています。

 また、菱食では、自社なりのCMの体系を整理し、小売業とのカテゴリー一括取引を推進しています(図表2)。

 ただし、実際には、小売企業独自のマネジメントスタイルにあわせることも重要です。例えばイトーヨーカ堂のような単品管理を徹底している企業には、CM提案は受け入れられないでしょう。また、イオンでは、「ベーシック」「ニューベーシック」「トレンド」というサブカテゴリーがあるのでそれを前提にしなければならない、など個別対応が必要とされている場合もあります。


図表2 菱食の提案するカテゴリーマネジメント
図表

 当社なりにポイントを整理すると、つぎの3点に集約できます。

  1. サブカテゴリーをどう定義するか
  2. どのような育成プランをつくるか(少なくとも半年の販促計画が必要)
  3. 仮説検証の仕組みがつくれるか

 問題は、明確なカテゴリー戦略がメーカーと小売企業との間で共有されていないことに尽きます。とくにサブカテゴリーをどう形成し育成するかの視点と継続的な取り組みが弱いということが指摘できます。




無料の会員登録をするだけで、
最新の戦略ケースや豊富で鮮度あるコンテンツを見ることができます。

いますぐ無料会員登録


関連用語


おすすめ新着記事

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター チョコレートの今後購入意向は80%以上! 意外にも男性20~30代と管理職が市場を牽引
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター チョコレートの今後購入意向は80%以上! 意外にも男性20~30代と管理職が市場を牽引

チョコレート商品の値上げが続くなか、成分や機能を訴求したチョコレートが伸びている。今回はどのような人がどんな理由でチョコレートを食べているのか調査した。

成長市場を探せ キャッシュレス決済のなかでも圧倒的なボリュームを誇るクレジットカード決済は、2024年、3年連続の2桁成長で過去最高を連続更新するとともに、初の100兆円台にのせた。ネットショッピングの浸透も拡大に拍車をかけている。  キャッシュレス市場の雄、クレジットカードは3年連続過去最高更新(2025年)
成長市場を探せ キャッシュレス決済のなかでも圧倒的なボリュームを誇るクレジットカード決済は、2024年、3年連続の2桁成長で過去最高を連続更新するとともに、初の100兆円台にのせた。ネットショッピングの浸透も拡大に拍車をかけている。 キャッシュレス市場の雄、クレジットカードは3年連続過去最高更新(2025年)

キャッシュレス決済のなかでも圧倒的なボリュームを誇るクレジットカード決済は、2024年、3年連続の2桁成長で過去最高を連続更新するとともに、初の100兆円台にのせた。ネットショッピングの浸透も拡大に拍車をかけている。

消費者調査データ トップは「ドライゼロ」、2位を争う「オールフリー」「のんある気分」
消費者調査データ トップは「ドライゼロ」、2位を争う「オールフリー」「のんある気分」

アップトレンドが続くノンアルコール飲料。調査結果は「アサヒ ドライゼロ」が首位を獲得、上位にはビールテイストが目立つなかで、「のんある気分」が健闘している。再購入意向では10位内にワインテイストやカクテルテイストの商品も食い込み、ジャンルとしての広がりを感じさせる。



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

お知らせ

2025.03.06

クレジットカード決済に関する重要なお知らせ

新着記事

2025.04.04

25年3月の「乗用車販売台数」は3ヶ月連続のプラス

2025.04.03

25年2月の「新設住宅着工戸数」は10ヶ月ぶりのプラスに

2025.04.02

ネット時代に放送局は生き残れるのかーテレビ業界の構造分析

2025.04.01

25年1月の「広告売上高」は、9ヶ月連続のプラス

2025.03.31

企業活動分析 SUBARUの24年3月期は売上台数増加と為替変動による増収効果で大幅増収増益

2025.03.31

企業活動分析 スズキの24年3月期は価格見直し、為替影響などで売上、利益とも過去最高更新

2025.03.28

成長市場を探せ キャッシュレス市場の雄、クレジットカードは3年連続過去最高更新(2025年)

2025.03.27

25年2月の「ファーストフード売上高」は48ヶ月連続のプラスに

2025.03.27

25年2月の「ファミリーレストラン売上高」は36ヶ月連続プラス

2025.03.27

消費からみた景気指標 25年1月は7項目が改善

2025.03.26

25年2月の「コンビニエンスストア売上高」は2ヶ月ぶりのマイナスに

2025.03.26

25年2月の「チェーンストア売上高」は既存店で4ヶ月ぶりのマイナスに

2025.03.26

25年2月の「全国百貨店売上高」は4ヶ月ぶりのマイナスに

 

2025.03.25

25年1月の「商業動態統計調査」は10ヶ月連続のプラス

2025.03.24

中国メーカーの多様化戦略への対応―垂直差別化では勝てない

 

2025.03.24

提言論文 高収入層がけん引するアメリカ消費 - 日本はどうなのか

2025.03.24

企業活動分析 トヨタの24年3月期は営業利益5兆3,529億円、大幅な増収増益を達成

週間アクセスランキング

1位 2024.06.19

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 縮小する野菜ジュース市場 値上げ下でブランド継続は4割

2位 2025.03.24

中国メーカーの多様化戦略への対応―垂直差別化では勝てない

3位 2024.10.24

MNEXT 日本を揺るがす「雪崩現象」―「岩盤保守」の正体

4位 2025.03.14

日本のブランド危機と再生戦略 - トライアドマーケティング

5位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area