ニーズ(needs)とは、コトラーによれば人間の基本的要件、すなわち、人間が生きていく上で基本的に必要となる条件を指します。例えば、食料、空気、水、衣服、風雨を避ける場所、教育、娯楽などがニーズです。
ニーズは欲求とは異なります。ニーズが特定の物に向けられたものが欲求で、例えば、食料というニーズがある時、そのニーズを満たすためにハンバーガーを欲するというのが欲求です。さらに、特定の製品に対する欲求が需要であり、買う気があってしかも実際に買うことができる人がどのくらいいるか、ということになります。
ニーズと対比的に使われる言葉にシーズ(seeds)があります。シーズとは企業がもっている材料や技術、アイディアなどを指します。顧客(お客様)が「こんなものを欲しい」と思うのがニーズ、企業が「こんなものを提供したい」と思うのがシーズと言うことができます。
マーケティングにおいて、顧客のニーズに重点を置き、ニーズを満たす製品を作ろうとする発想をニーズ発想(ニーズ志向)と言います。あらかじめ顧客ニーズを把握しておき、そのニーズを満たすにはどのような商品やサービスが必要かを考え、開発します。
これに対し、シーズに重点をおくのがシーズ発想のマーケティングで、企業は自社の材料や技術で作ることができ、作りたいと思う製品を開発します。シーズ発想の製品は、顧客のあいだに既に存在しているニーズを満たそうとはしませんが、顧客自身が認識していない潜在的ニーズを掘り起こす画期的商品になることもあります。ただし、技術のみが先行すれば、消費者が必要としていない商品を提供することになり、顧客の支持が得られない場合もあるため、企業は商品開発に当たりニーズとシーズを一致させることが課題となっています。
無料の会員登録をするだけで、
最新の戦略ケースや豊富で鮮度あるコンテンツを見ることができます。
参照コンテンツ
おすすめ新着記事

成長市場を探せ キャッシュレス決済のなかでも圧倒的なボリュームを誇るクレジットカード決済は、2024年、3年連続の2桁成長で過去最高を連続更新するとともに、初の100兆円台にのせた。ネットショッピングの浸透も拡大に拍車をかけている。 キャッシュレス市場の雄、クレジットカードは3年連続過去最高更新(2025年)
キャッシュレス決済のなかでも圧倒的なボリュームを誇るクレジットカード決済は、2024年、3年連続の2桁成長で過去最高を連続更新するとともに、初の100兆円台にのせた。ネットショッピングの浸透も拡大に拍車をかけている。

消費者調査データ トップは「ドライゼロ」、2位を争う「オールフリー」「のんある気分」
アップトレンドが続くノンアルコール飲料。調査結果は「アサヒ ドライゼロ」が首位を獲得、上位にはビールテイストが目立つなかで、「のんある気分」が健闘している。再購入意向では10位内にワインテイストやカクテルテイストの商品も食い込み、ジャンルとしての広がりを感じさせる。

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 清貧・ゆとり世代が消費を牽引!賞与の使い道は?
近年賃金上昇の流れが広がるなかで、今年の消費を占う意味でも冬季賞与への関心が高まっていた。そこで、冬季賞与がどのように使われているか、「103万円の壁」の問題がどの程度関心を持たれているかを調査した。