流通業において、業種とは、小売店を取扱商品の種類によって分類したものをいいます。例えば、八百屋・酒屋・電器屋・薬屋などといったものがこれにあたります。つまり「何を売るか」による分け方が業種です。
一方、業態とは、営業形態による分類をいいます。例えば、百貨店・コンビニエンスストア・ディスカウントストアなどのことで、同じ商品を売っているとしても、その提供方法は異なります。つまり「どのように売るか」による分類が業態といえます。また広い意味では、事業分野による区分(サービス業・小売店・飲食店など)も業態に含まれます。
日本では、古くから業種別小売業が発達していましたが、近年、商品が多様化し、一方でお客様の願望も単に「何を買うか」だけでなく、「何を」「いつ」「どのようにして」「どれくらいの値段で買うか」を通じ、生活におけるソリューションを求めるようになってきています。そのため、売っているものが明確、換言すれば、単一の商品カテゴリーを取り扱う伝統的な業種店ではお客様のニーズを満たしきれなくなってきました。こうしたことに対応するために、生まれてきたのが業態という考え方です。例えば、百貨店・食品スーパー・総合スーパーは、業種店の取扱商品を組み合わせて品揃えを広げることにより、お客様が個別の業種店を一軒ずつ回る手間を省くとともに、生活におけるソリューションを提供してきました。こうした業態店はチェーン化し、広域に店舗を展開するようになっています。一方、その影響下で業種店は大幅に減少しました。これは、日本だけに限らず、世界に共通してみられる傾向です。
このように、流通業において、業態はその時代におけるお客様のニーズが具体的な形やシステムを伴って市場に登場したものです。その意味で、インターネットなどのデジタルネットワークの進展と今後のお客様のニーズやライフスタイルの変化によって、まったく新しい業態が誕生することが予想されます。
「消費社会白書2025」のご案内
30年の長いトンネルを抜けて、そこは「灼熱の真冬」だった。2024年の消費は、経済史において消費転換の年だったと明記されるかもしれない。
無料の会員登録をするだけで、
最新の戦略ケースや豊富で鮮度あるコンテンツを見ることができます。
関連用語
おすすめ新着記事
消費者調査データ レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア
調査結果を見ると、「咖喱屋カレー」が、再購入意向を除く5項目で首位を獲得した。店頭接触、購入経験で2位に10ポイント以上の差をつけ、3ヶ月内購入では2位の「ボンカレーゴールド」のほぼ2倍の購入率となった。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場 背景にある簡便化志向や節約志向
どんな人がパンを食べているのか調べてみた。主食として1年内に食べた頻度をみると、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。パン類全体でみると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。
成長市場を探せ コロナ禍の落ち込みから再成長する惣菜食市場
コロナ禍で打撃を受けた市場のひとつに惣菜市場がある。特に外出自粛の影響を受けた百貨店の惣菜などが落ち込んだ。しかし、翌21年には早くも持ち直し、22年、23年と2年連続で過去最高を更新した。