流通系列化とは、メーカーが自社商品を販売しやすくするために卸売業者や小売業者など流通業者に関係の強化を求め、他メーカーに対する競争上の優位性を獲得するため、組織化することをいいます。
系列化には、以下のようなものがあります。系列内に属する卸売業者や小売業者は、競合メーカーの商品を取り扱わない代わりに、そのメーカーから経営や販売などで様々な支援を受けることができます。
- 専売制
メーカーが自社の商品のみの取扱契約を流通業者と結ぶもので、流通業者は、このメーカー以外の商品提供は制限されます。例えば、食品などの卸売業者の特約店制度など。 - 一店一帳合制
メーカーが小売店に対し、自社商品の仕入先の卸売業者を1社に指定するもの。 - テリトリー制
メーカーが特定地域での独占的な販売権を流通業者に与え、その代わりに他の地域での販売を制限するもの。 - 店会制
メーカーが自社の「店会」に流通業者を加入させ、組織化する制度。有名なのは中小の電気店を組織化した松下電器(現:パナソニック)のかつての「ナショナル店会」。
流通系列化は、メーカーにとって価格や販売の管理がしやすくなることだけでなく、生産から販売までの基盤を強力に築くことができるため、競合メーカーや新規参入企業が自社の市場に入りにくくなるというメリットがあります。そのため、日本では多くの企業が流通系列化を行ってきました。家電や化粧品は、その典型的な業界でした。
しかし、小売業が大型化、チェーン化の進展とともに、バイイングパワーを発揮して価格主導権を握るようになり、商圏も当初メーカーが設定したテリトリーを超えて変動しています。さらに、近年のインターネット通販市場の急成長は小売・流通産業全体に影響を及ぼし、店頭以外の顧客との接点が大きく拡大しています。
商品の品揃えや価格設定が制限される流通系列化は、次第にこうした戦略環境に合わないものとなっています。家電、化粧品、タイヤなどの業界では今なお残ってはいるものの、その有効性は大きく低下しています。また海外からも、流通系列化が日本市場への参入障壁になっているとして、批判の対象となってきました。しかし現在では、状況が変化したために、流通系列化が問題視されることは少なくなってきているようです。
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