プレミアムキャンペーンは、商品の認知や購入の促進を目的とした販促の常套的施策です。商品の購入を条件としない「オープンタイプ」と購入を条件とする「クローズドタイプ」に大別できます。
「オープンタイプ」には、簡単なクイズなどに応募させ、豪華なプレミアムを提供して話題を喚起し、商品の認知や理解を促進する効果があります。「クローズドタイプ」は、総付け(べた付け)プレミアムや店頭抽選、応募抽選プレミアムなどがあり、購入の促進やブランドロイヤリティのアップの効果を狙うものです。
2000年のキャンペーンを例にとると、その件数は、99年に対し、5.7%の減少となったものの、キャンペーンの大型化傾向は依然として続き、1,000万通以上の応募者を獲得したキャンペーンが3例となっています。「キリンビール」の「特別限定醸造2000年記念セット」、「アサヒビール」の「ビールの力・サーバープレゼント」、「コカコーラ」の「ジョージア・2000年の福袋プレゼント」です。
95年に「ジョージア」の「やすらぎパーカープレゼント」が3,400万通を記録して以来、毎年1,000万通を超えるキャンペーンが見られており、TV広告と連動した「マスプロモーション」の威力は2000年も発揮されています。
2000年に見られた新しい動きは、96年以降、減少してきた「キャンペーン実施企業数」が増加に転じたことです。片方で合理化を進めながら、「売りの確保」のためにコミュニケーションコストの比率は総じて上昇しています。
キャンペーンタイプ別で見ると、商品購入を条件としてプレミアムやサービスが提供される「クローズドタイプ」は99年と比較して件数、構成比とも減少していますが、最寄品業種を中心としたポイント蓄積型は増加しました。先に述べた1,000万通以上の応募があった3例のキャンペーンはすべて「ポイント蓄積型」です。
購入を条件としない「オープンタイプ」のキャンペーンのうち、顧客参加型の仕組みを取り入れたケースの増加が目立ちます。特に、これまでどちらかといえば地味なプロモーションであった「サンプリング・モニタリング」が実にヘビーになってきています。
これまで「オープンキャンペーン」は認知率寄与のための「クイズ方式」が主流でしたが、このようなモニター、セミナー、イベントなどといった積極的な顧客との「対話」が重視されてきているといえましょう。
また、伊藤園の企業表現のプロモーションといえる「お~いお茶」の俳句コンテストが90年の開始以来、毎年応募者数を増加させ、ついに100万人を突破するなど、企業の特徴を表現するキャンペーン、プロモーションも目立ちます。
景品表示法改正により、96年4月から、オープンタイプの景品上限額が100万円から1,000万円に、クローズドタイプの上限が5万円から10万円に引き上げられるなどの規制緩和があり、キャンペーンの大型化が進んでいます。
これまでどちらかといえば「広告戦略」に付随する形での「マスプロモーション」ばかりが強調されていましたが、「広告」にはないコミュニケーションの機能として「顧客とのリレーション強化」のためのプロモーションが増加しています。それが「既存・ロイヤル顧客重視」であり、「顧客参加型」であり、「企業姿勢・体質の伝達」です。
さらにそのコミュニケーションメディアとして「顧客ダイレクト」な「インターネットの活用」があります。
そして、その傾向は今後も強まるものと思われます。
おすすめ新着記事
消費者調査データ レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア
調査結果を見ると、「咖喱屋カレー」が、再購入意向を除く5項目で首位を獲得した。店頭接触、購入経験で2位に10ポイント以上の差をつけ、3ヶ月内購入では2位の「ボンカレーゴールド」のほぼ2倍の購入率となった。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場 背景にある簡便化志向や節約志向
どんな人がパンを食べているのか調べてみた。主食として1年内に食べた頻度をみると、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。パン類全体でみると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。
成長市場を探せ コロナ禍の落ち込みから再成長する惣菜食市場
コロナ禍で打撃を受けた市場のひとつに惣菜市場がある。特に外出自粛の影響を受けた百貨店の惣菜などが落ち込んだ。しかし、翌21年には早くも持ち直し、22年、23年と2年連続で過去最高を更新した。