
企業間での戦略的な提携関係構築の動きが目立っています。提携関係のパターンとしては、
- スズキとダイハツ間にみられるようなメーカー間での提携関係(製製同盟)
- 菱食(現:三菱食品)と相鉄ローゼンのような流通間での提携関係(販販同盟)
- 味の素とセブン-イレブン・ジャパン(以下セブン-イレブン)にみられるような製造と流通企業の間の提携関係(製販同盟)
がみられます。
このうち、「製販同盟」とは、従来のメーカーと卸、小売りが、単なる「取り引き」か、小売り主導の「PB開発」の関係から、企業相互間の「取り組み」ともいうべき進化をとげ、顧客への新たな価値提供を目指す関係です。商品共同開発、受発注システムの開発という既存の取り組みを前提としたものから、新ビジネスの共同開発と言った次元まで、範囲が広く、システム調整、組織調整が要請されます。
このような製販同盟が生まれた背景としては、
- 顧客側の要因では、80年代の多品種化やバブル期の多様な経験によって、顧客の求める価値が多元化し、これに対応するには1社だけの努力では限界があること
- 他方、供給側の商品開発力の格差は縮小し、DSの台頭や、規制緩和による割安な輸入品の増加によるNB商品の値崩れがすすみ、メーカー、流通の利益が圧迫されていること
があげられます。このような状況を打開するために、無駄のない商品供給体制を確立し、顧客に魅力的な品質と価格の商品を提供すべく、同盟関係が構築されています。
製販同盟には、システム化のための投資が可能な体力をもっていることに加え、小売り側では巨大な販路と適切な顧客情報収集能力が、メーカー側では小売りの要望に応えられる商品開発力が不可欠です。製販同盟の登場により、メーカーと小売りの相互の選別はより厳しいものとなり、業界再編への動きが加速されることが予想されます。
- 味の素とセブン-イレブン
セブン-イレブンで扱う焼きたてパンについての提携を締結。 - 花王とジャスコ(現:イオン)
受発注システムを共同で開発。花王は、流通在庫調整、生産調整の最適化によるコスト削減、ジャスコは、販売機会損失の削減、取り引きオペレーションコストの削減を狙う。 - フィリップモリスとセブン-イレブン
PM社のNB商品の低価格販売に加え、共同でPB開発をすることも合意されている。セブン・イレブンでは、MD力価格の面でストアロイヤリティアップを、PM社は日本市場での販売拡大を狙う。
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