半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

マーケティング用語集
SPA(製造小売業)


SPA(製造小売業)とは

 SPAとは、アメリカの衣料品小売大手GAPのドナルド・フィッシャー会長が1986年に発表した「Specialty store retailer of Private label Apparel」の頭文字を組み合わせた造語で、製造から小売までを統合した最も垂直統合度の高い販売業態です。

 90年代に入ってその概念も広くなり、現在では素材調達、企画、開発、製造、物流、販売、在庫管理、店舗企画などすべての工程をひとつの流れとしてとらえ、サプライチェーン全体のムダ、ロスを極小化するビジネスモデルと定義されます。


図表


SPAのメリット・デメリット

 メリットは、

  1. 自店の顧客ニーズを的確にキャッチできる
  2. リーズナブルな価格で製造できる
  3. 情報ネットワークを駆使し、売れ行きをチェックし、変化に早期に対応できる
などです。

 一方、デメリットとしては、

  1. 自らの企画、生産であるため、リスクが大きい
  2. 顧客リサーチから企画に仕上げる手間がかかる
  3. 工場管理から店頭オペレーションまで幅広いノウハウが必要である
などが挙げられます。


SPAの実践企業

 「仮説→修正→検証」の繰り返しによる商品作りと、クイックレスポンス体制によって、企画から店頭販売の期間を4ヶ月に短縮化することに成功したワールド(戦略ケース「株式会社ワールド-SPAを制するものはアパレル業界を制す!!ワールドのあくなき挑戦(2001年)」参照)、また部品原料は東レや大手の化学繊維メーカーに任せ、出荷物流もサードパーティを活用、自分たちはマーケティングと企画だけを行い、卸機能と小売に集中して成功したユニクロなどは、独自の仕組み構築によってこのデメリットを克服して成功しているケースです

 従来、日本で採用されてきたSPAビジネスモデルは小売業者が製造、企画を担当するものでした。なぜなら、小売業者の方がPOS分析や購入者分析、店舗開発など「販売」のノウハウを多く所有しており、効率的にSPAモデルを推進できるからです。「ユニクロ」(戦略200+ 企業活動分析「ファーストリテイリング(ユニクロ)」参照)「良品計画」などは、小売業が起点となっている日本のSPA企業の代表です。

 アパレル企業でのSPA導入企業は「ファイブフォックス」「サンエー・インターナショナル」「ワールド」などがあり、今やSPAでないと成功しないというのがアパレル業界の常識となりつつあります。

 さらに2008-09年頃から、流行を捉えた商品をいち早く店頭展開するスピードと「衣料版トヨタ生産方式」と称される在庫調整で売り切る柔軟性をもった「SPA第2世代」と言われるスウェーデンのH&M、米国のフォーエバー21やZARAを展開するスペインのインディテックスグループも日本に上陸、ファストファッションブランド競争を繰り広げています(戦略ケース「外資の第2世代SPA迎撃に備えるファーストリテイリング「ユニクロ」(2008年)」戦略ケース「最後の黒船、第2世代SPA「H&M」が銀座に日本初出店(2008年)」参照)。

 また、SPAモデルへの転換により、価格と質にこだわったオリジナル商品の開発を強化したベビー・子供服の西松屋チェーン(戦略ケース「SPAモデルへの転換により更なる成長を図る西松屋チェーン(2015年)」参照)も、成熟市場にあって業績を伸ばしている企業です。



無料の会員登録をするだけで、
最新の戦略ケースや豊富で鮮度あるコンテンツを見ることができます。

いますぐ無料会員登録


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

お知らせ

2024.12.19

JMR生活総合研究所 年末年始の営業のお知らせ

新着記事

2024.12.20

消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも

2024.12.19

24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「広告売上高」は、6ヶ月連続のプラス

2024.12.19

24年10月の「旅行業者取扱高」は19年比で83%に

2024.12.18

提言論文 「価値スタイル」で選ばれるブランド・チャネル・メディア

2024.12.18

24年11月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.12.18

24年11月の「景気の現状判断」は9ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.12.17

24年10月の「現金給与総額」は34ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.12.16

企業活動分析 SGHDの24年3月期はロジスティクス事業不振で2期連続の減収減益

2024.12.16

企業活動分析 ヤマトHDの24年3月期はコスト削減追いつかず3期連続減益

2024.12.13

成長市場を探せ コロナ禍の壊滅的状況からV字回復、売上過去最高のテーマパーク(2024年)

2024.12.12

24年10月の「家計収入」は再びプラスに

2024.12.12

24年10月の「消費支出」は6ヶ月連続のマイナスに

2024.12.11

提言論文 価値スタイルによる生活の再編と収斂

2024.12.10

24年10月は「有効求人倍率」は改善、「完全失業率」は悪化

2024.12.09

企業活動分析 江崎グリコ株式会社 23年12月期は国内外での売上増などで増収増益達成

2024.12.09

企業活動分析 日清食品ホールディングス株式会社 24年3月期は価格改定浸透で増収、過去最高益達成

 

2024.12.06

消費者調査 2024年 印象に残ったもの 「大谷選手」「50-50」、選挙も五輪も超えてホームラン!

2024.12.05

24年11月の「乗用車販売台数」は3ヶ月ぶりのマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

2位 2024.04.05

消費者調査データ ノンアルコール飲料(2024年4月版) 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」

3位 2024.12.04

提言論文 本格消費回復への転換-価値集団の影響力拡大

4位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area