
デファクトスタンダード(de facto standard)とは、市場での競争の結果として、事実上の業界標準となった規格・製品のことを指します。これに対し、ISOやJISなどの国際機関や標準化団体によって定められた公的な標準を、デジュアスタンダード(de jure standard)と呼ぶことがあります。パソコン向けのOS(基本ソフトウェア)であるWindowsや、家庭用ビデオのVHS、インターネットの通信規格であるTCP/IPなどがその代表例です。
デファクトスタンダードが確立した業界では、その規格に対応した製品や、互換性を持つ製品が、シェアのほとんどを占めることになり、市場の独占が進むおそれもあります。一方、消費者にとっては、デファクトスタンダードを目指す複数の規格が対立することで、製品やサービスの互換性がない製品が市場に多く出回り、不便を感じることもあります。
ある規格がデファクトスタンダードになるためには、その規格が他の企業によって支持されることが必須条件です。例えば、Windowsを普及させたMicrosoftは、当時の世界最大のコンピュータ製造会社であったIBMにOSを採用させることに成功したため、デファクトスタンダードを獲得したという経緯があります。また、規格をオープンにし、関連企業と連携を持つことも、有効な手段のひとつです。家庭用ビデオの例では、VHS方式を発表した日本ビクターは、試作機を他社に貸し出して公開したため、シャープや三菱電機などの企業が機能の改良を行い、その結果デファクトスタンダードを獲得できたのです。
現在注目されている対立例として、次世代DVDの規格が挙げられます。現存する規格には、東芝やNECが共同提案しているHD DVDと、ソニー、松下電器産業などが推奨しているブルーレイディスクのふたつがあります。
近年ではひとつの規格に複数の産業が関わることが当たり前になっています。デファクトスタンダードを獲得することは主目的ではなく、関連産業のなかでいかに自社のポジションを獲得していくかが、戦略の鍵となっています。
おすすめ新着記事

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 清貧・ゆとり世代が消費を牽引!賞与の使い道は?
近年賃金上昇の流れが広がるなかで、今年の消費を占う意味でも冬季賞与への関心が高まっていた。そこで、冬季賞与がどのように使われているか、「103万円の壁」の問題がどの程度関心を持たれているかを調査した。

消費者調査データ スナック菓子(2025年2月版) 経験率7割超、カルビー「ポテトチップス」の人気揺るがず
2桁成長のスナック市場。調査結果をみると、カルビーのポテトチップスが全項目で首位と王者の貫禄をみせた。

消費者調査データ チョコレート 首位「明治チョコレート」は変わらずも、PBのリピート意向高まる
調査結果をみると、「明治チョコレート」が複数項目で首位を獲得、強さをみせたものの、「カカオショック」とまでいわれる原材料価格の高騰などによる相次ぐ値上げを背景に、再購入意向ではPBが上位に食い込んだ。



