
メタバースとは、「Meta(超越した)」と「Universe(宇宙)」を組み合わせた造語で、ネットワーク上に構築された仮想空間や、仮想空間におけるサービスの総称。利用者は自分の分身であるアバターを用い、他のユーザーと相互にコミュニケーションをとることを目的としている。
そもそもの由来は米国の小説家ニール・スティーヴンスンの小説「スノウ・クラッシュ」(1992年)に登場する仮想空間であるとされている。
2021年、GAFAの一角であるFacebookが、メタバースへの注力を示す一環として「Meta」に社名変更したことは記憶に新しい。同社の公式サイトでは、メタバースについて「ソーシャルコネクション、人と人とのつながりの進化した形」としており、FacebookやInstagramに続く事業の柱として年間100億ドル規模の投資を計画している。
ここ数年で突如現れたかのように思えるメタバースだが、現実のサービスとして古くから存在している。
その先駆けとも言えるのが、2003年にサービスを開始した3D仮想空間「セカンドライフ」(Linden Lab)だ。セカンドライフでは、ユーザーはアバターを操り、他のユーザーとともにコミュニケーションやものづくり、ゲーム内通貨による経済活動を楽しむことができる。このゲーム内通貨はリアルマネーに換金可能で、セカンドライフで得た収入によって現実世界での生計を立てるユーザーも現れた。
ほかにも、「マインクラフト」(Mojang Studios、マイクロソフトほか)、コロナ禍でヒットした「あつまれ どうぶつの森」(任天堂)などのゲームや、「VRChat」(VRChat Inc.)のようなソーシャルVRプラットフォームもメタバースに該当する。
仮想空間サービスとして20年も前から存在していたにも関わらず、なぜいまメタバースが注目されているのか。理由は大きくふたつあると考えられる。
ひとつ目は、メタバースを取り巻く技術の発達である。「Meta Quest(旧:Oculus Quest)」に代表されるVR機器や、5G、Wi-Fi6といった高速通信回線の普及。加えて仮想通貨やNFTの実用化によってデジタルデータの資産的価値が担保され、新たな市場が形成された。
ふたつ目が、コロナ禍でのコミュニケーションの変化だ。感染防止対策としてリアルでの対面コミュニケーションは減り、代わってZoomやGoogle Meetといったオンラインツールが急速に普及した。一方で、ビデオ会議では相手のパーソナルな部分が見えづらく、信頼関係を築きにくいという問題も顕在化している(参考:MNEXT 眼のつけどころ「コロナ禍の訪問営業は時代遅れなのか?―『会うのが、いちばん。』」)。
メタバースは、VRやアバターによって、オンラインでありながらより対面に近いコミュニケーションを実現する。それは友人とのチャットやビジネスミーティングにとどまらず、バーチャルオフィス、VRモールや遠隔医療といった、働き方、ライフスタイルそのものを変革させる可能性のある技術として期待されているのである。
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