「加入者線」と呼ばれる従来の電話回線(メタルケーブル)を利用するが、音声電話に使用しない高い周波数を専用のモデム経由で高速なデータ伝送を可能にしたデジタル技術(xDSL)のひとつです。ADSLは、xDSL技術のうち現在もっとも普及している方式で、データ伝送の向き(ユーザーから見て発信の「上り」と受信の「下り」)の速度の違いが「非対称(Asymmetric)」になります。1対の加入者線で最大上り512kbps、下り8Mbpsの速度で通信が可能とされています。xDSLにはほかにも、複数対の加入者線を使う「HDSL」や、ADSLの超高速版の「VDSL」などがあります。
2001年の日本はADSLの普及が加速し「ブロードバンド元年」と呼ばれましたが、日本はADSLの普及でアメリカと韓国に大きく遅れをとりました。その理由は、国内で市内ケーブルを独占するNTTがISDNサービスを積極的に推進してきたからです。ISDN線とADSL線は敷設ケーブル束内で周波数が大きく干渉し合うために共存が難しく、NTTはADSLへのシフトを躊躇し、より高速の次世代回線「光ファイバー(FTTH)」計画を推進してきました。
しかしISDNとの干渉を避けるG.liteの「Annex C」という国内仕様が勧告され、またNTTがメタルケーブル(ドライカッパー)を開放するにつれ、ADSLサービス事業者が徐々にADSLサービスを本格的に提供するようになり、現在はNTT自体も、サービスの提供を開始してインターネット接続回線の約半数を占めるまでに至っています。
参照コンテンツ
- 戦略ケース 始まった東京のスポット戦争-無線LANの急成長(NTTグループ)
- 戦略ケース ブロードバンド・ウォーズー高速インフラを巡る攻防(2001年)
- 戦略ケース 有線ブロードネットワークス ブロードバンド時代に有線がNTTを超える(2000年)
- 戦略ケース ブロードバンド・インパクト-超高速革命は未来に何をもたらすか(3回連載)(2000年)
- ネット評判記 第41回 ブロードバンド時代の注目アクセス「ホットスポット」
- ネット評判記 第42回 ブロードバンド革命-無線LANへの高い期待
- マーケティング用語集 ブロードバンド:Broadband
- マーケティング用語集 FTTH:Fiber To The Home
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