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マーケティング用語集
ニューロマーケティング
1.ニューロマーケティング
 ニューロマーケティングとは、脳科学の立場から消費者の脳の反応を計測することで消費者心理や行動の仕組みを解明し、マーケティングに応用しようとする試みです。神経マーケティングとも呼ばれており、関連する分野としては、実験経済学の延長として予測や報酬について研究する神経経済学が挙げられます。
 通常、消費者の意思決定プロセスはアンケート調査のように認識可能で、言葉で表現できる情報でしか捉えられていません。一方、感情の動きなどの無意識下の決定プロセスについて人は正確に語ることが出来ません。そこでこうした無意識のプロセスに迫るべく、ニューロマーケティングが注目を浴びています。

2.研究と成果
 このような研究が進んだ背景にはfMRI(核磁気共鳴計測)・NIRS(近赤外線分光法)・MEG(脳磁図)など被験者に損傷を与えない脳の活動計測技術、診断装置の発展があります。
 具体的な成果としては、2004年の米国・ベイラー医科大学の神経科学者リード・モンタギューのグループによるコカ・コーラとペプシコーラの選好に関する実験があります。コカ・コーラが好きな被験者に対して、ブランド名を伏せた場合と伏せなかった場合について飲用中の脳の活動を計測した結果、後者の場合にだけ前頭葉が活発に働いたことが観測されました。同様に、ペプシ派の人に実験を行ってみたところ、ブランド名を出した場合も出さなかった場合も、前頭葉における活動の違いが顕著にはみられませんでした。この実験の結論として、コカ・コーラの場合の方がよりブランド名の影響を受けているということが言えます。
 このような研究は米国を中心に行われ、神経経済学の研究の中心であるカリフォルニア工科大学のコリン・キャメラー教授、プリンストン大学のサミュエル・マクルーアなどの研究者がいます。国内においては、「欲望解剖」(茂木健一郎(著) ほか 幻冬舎)、「脳科学から広告・ブランド論を考察する」(山田理英(著) 評言社)、「心脳マーケティング」(ジェラルドザルトマン(著), 藤川佳則(翻訳)ダイヤモンド社)などいくつかの書籍が出版されているものの、具体的な研究はあまり見受けられません。

3.今後の動向
 今後はBMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)といった脳の反応と機械をつなげる技術も発展していくことから、脳科学はより身近になり、マーケティングへの応用も広がっていくと考えられます。その結果、消費者の意思決定プロセスについてより深い知見が得られることが期待されます。
 ただし、無意識に対してアプローチをしていくことになるため、自由意志に払拭する可能性が強く、今後は倫理的な問題も含めて検討していくことが重要になります。また、脳に関してはまだまだ未解明な部分が多いため、安易に結論づけをせず情報を慎重に見極めて応用していくことも必要になると考えられます。


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