消費経済レビュー Vol.10 |
景気認識転換のミクロ的波及構造 -集団間のネットワーク分析によるアプローチ |
景気の悪化という現象は、経済の実態面での悪化とみられることが多いが、その大きな要素のひとつとなっていると考えられるのが、人々のマインドの悪化である。 マインドの悪化は、他の経済関連の指標などに対する先行性も指摘されており、今後の実態経済へと波及する可能性がある。つまり、何らかの外的なショックが起き、それが徐々に人々に広がり不安が広がることで全体的に消費を抑制し、そのことがさらに経済を悪化させるという負のフィードバックを生む要因となる。 その際に、徐々にそうしたマインドが広がっていくのではなく、あるきっかけから大きな構造の変化が起きて、世の中の情勢が一気に変化することが多くの場合みうけられる。今回の景気悪化についても、そのマインドの悪化は急激であり、支出増減などの実態と比べてみてもその乖離は非常に大きい。 では、このようなマインドはどのようにして形成されたのであろうか。 景気の悪化が人々の間でどのような情報源からどのようなきっかけで認識され、さらに共有されたのかについて調査を行い、景気認識の転換とメカニズムについて探った。 結果として、初期段階で悪化に関連する直接体験が一部であらかじめ存在し、その後、株価などの経済のマクロ指標やテレビのニュースなどのマスコミを通じて不安が広がり、続いて企業業績の悪化をクチコミなどの間接的な経路で伝わって、さらに拍車がかかった。このような状況をふまえて、最終的に物価高などの実生活の面での悪化を直接認識したことがわかった。 (2008.12)
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