息長く回復の動きを続けてきた消費支出も、足許では一旦足踏み状態となっておりますが、消費を取り巻く環境には明るい材料が認められます。雇用環境と収入環境のいずれも、改善の動きは着実に進展しております。これまで悪化の動きが続いてきた消費マインドも、9月8日の2020年東京五輪開催の正式決定あたりを節目に、転換のきざしがみられます。支出意欲にも、前向きな動きが出てきております。この先、景気回復の動きを底堅いものとできるかは、2014年4月からの消費税増税のマイナス・インパクトを極力緩和していく、具体的で継続性のある政策オプションのパッケージを示すことで、政権への信頼感を確保し、消費者のマインド改善を盤石なものとしていけるかどうかにかかっています。 公表されている経済指標を見ると、景気は順調な回復をみせており、唯一立ち遅れていた民間企業設備投資もプラス成長への転換を果たしたことで、需要の三本柱の足並みが揃いつつあります。在庫・生産調整は着実な進展をみせており、景気回復のピッチが上がれば生産拡大・在庫積み増しの拡張局面へと更に進みそうです。 今後の日本経済の見通しとして、2013年度は消費主導での景気回復が続き、2014年度は個人消費のスランプが際立ち設備投資への依存を深める、といったシナリオが有力です。成長戦略や2020年東京五輪開催などをテコとした、設備投資の今後の回復の動き次第で、景気の先行きは分かれそうです。 今号の概要は以下のとおりです。 「Economic Outlook for Japan-本格回復へと離陸する景気と消費」では、前号が発刊された2013年5月以降の経済情勢を整理し、需要の三本柱で回復の足並みがようやく揃いつつある中で、本格回復へと離陸し始めた日本経済の見通しと、今後の消費の読み方を提示します。 「消費者からみた消費税増税に対する評価とその影響」では、弊社による独自調査の結果をもとに、消費税増税が支出意欲に及ぼす影響を整理し評価するとともに、消費税増税が支出行動に及ぼす影響として、消費税増税に伴う駆け込み需要と反動減の大きさを分析・試算しています。 2013年晩秋、日本経済の底流で生起しつつある変化の予兆を捉えて、一歩先を見据えた戦略的判断と行動の一助となることを企図して、「消費経済レビュー」第22号を実務家のみなさまにお届けいたします。 (2013.10)
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