はじめに
日本経済では、緩やかながらも息長く景気回復の動きが続いております。2019年1月の「いざなみ超え」も射程に入ってきた、との見方も一部では出てきているようです。2018年に入って以降、国内外の政治・経済情勢は「トランプ・リスク」に翻弄され続けてはいますが、海外の景気動向は比較的落ち着いた推移をみせております。
ただ、日本の景気循環の観点からは、景気のピークアウトの気配を示す動きも一部ではみられます。想定外のダウンサイドリスクが顕在化しなければ、2018年以内に在庫調整や生産調整が進展する事態には至らないと見込まれますが、6月半ばの「大阪府北部地震」や西日本を襲った「平成30年7月豪雨」など、立て続けに起きた自然災害の悪影響が今後の日本経済にどう出てくるのかは、気がかりなところです。
今後の日本経済の見通しとして、2018年度から2019年度にかけては、内外需好転により景気が全面回復していくシナリオから、内外需が低迷し景気停滞が顕在化していくシナリオへと反転していく、との見方が極めて有力です。2019年10月からの消費税増税を踏まえて、2019年度に個人消費が低迷するとの見通しは、シンクタンクほぼ全機関でのコンセンサスとなっています。
今号の概要は以下のとおりです。
「2018年度末に向けた消費の展望-近づく消費の分岐点」では、前号が発刊された2018年1月以降の経済情勢を整理し、息の長い改善が続く雇用・収入環境を支えに、引き続き底堅さを保っている消費の現状と今後を概観します。
「伸びてきた消費の牽引役とその背景」では、着実な回復をみせてきた消費支出への英影響要因を選別・特定し、それらの影響力を評価しました。また、消費支出の増加の牽引役となった家具・インテリア需要とクルマ需要それぞれについて、需要の伸びの原動力となった諸要因を明らかにした上で、今後の需要の行方を展望します。
「広がる世代間の生涯収入格差」では、労働者の収入プロファイルの中長期的な変動を示すとともに、世代別の収入プロファイルの情報から各世代の生涯所得額を推計することで、所得水準や所得成長率、更には生涯購買力の世代格差を明らかにします。
「2019年10月の消費税増税で強まる節約姿勢」では、消費者の間で現在、物価上昇見通しや節約姿勢がますます強まりつつある中で、2019年10月からの消費税増税に備えての節約意識の高まりが今後の消費減少の最大の要因となる可能性を示すともに、消費税増税が近づくにつれて耐久財・奢侈財と日常生活財の双方で益々活発化していく、増税前の駆け込み需要の行方を展望します。
2018年盛夏、日本経済の底流で生起しつつある変化の予兆を捉えて、一歩先を見据えた戦略的判断と行動の一助となることを企図して、「消費経済レビュー」第30号を実務家のみなさまにお届けいたします。
構成
2018年度末に向けた消費の展望-近づく消費の分岐点- 底堅い消費
- 改善する雇用・収入環境
- 今後の消費の行方を占う
- 着実に回復してきた消費支出
- インフレ期待と収入増加が支える支出
- 伸びる耐久財・奢侈材
- 首都圏への人口移動が支える家具・インテリア需要
- 技術革新によって伸びたクルマの需要
- ダウンシフトする収入プロファイル
- 収入プロファイルの世代ギャップ
- 広がる値上げの動きと強まる節約姿勢
- 消費を減少させる消費税増税
- 再燃する駆け込み需要の兆し
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