はじめに |
「半歩先を読む」
「消費社会白書2007」をお届けします。消費や生活者の動向の把握は、企業のマーケティングや経営にとって有益であるだけでなく、マクロな経済政策や地域政策を立案、遂行する行政や政治にとって極めて有用な情報となっています。このようなみなさまに、私どもが常に拘っているのはデータと過去を踏まえて「半歩先」の消費と生活の動向をご提示することです。「同時性」では情報価値はなく「一歩先」では実務にならないからです。現在は、戦後最長の、実感のない、名前もない、順調な好景気が続いています。しかし、市場競争の水面下の現場では大変動が起こっています。このような変化のなかで、長期の基本トレンドは、格差拡大の結果として生まれる生活の趣味化です。収入などで明らかに格差が生じ、格差意識が拡大し、中流意識の階層分化が進んでいます。しかし、是正意識よりも、自助努力や価値意識の多様化によって格差を受け入れる傾向が見られます。このような趨勢を支えるのが、消費をリードする成熟世代と選別的な価値観の強まりです。従って、消費者を階層の上中下意識よりも趣味の違いとして捉えた方が有益です。また、多くの人々が注目を集める定年退職を控えた団塊の世代は生活防衛に汲々としています。 購買行動として着目できるのは、商品やサービスの情報が流れる消費者間の繋がりが変わり、インターネットなどを通じて多様な組織化が進んでいることです。「スモールワールド」と呼ばれる消費者間のネットワークが、マスメディアよりも、商品選択に決定的な影響を与えています。また、消費者間の機会費用の格差拡大によって選択される業態や買物の仕方が大きく異なるようになっています。 この激変市場を制するには、よりグレードアップした新しいマーケティングと競争戦略の新しい考え方が必要になります。先取りして言うならば、ブランドロイヤリティづくりには、顧客満足の追求よりも顧客価値を最大化する情報発信のオープン化が必要です。ものづくりの強さをさらに活かすにはコンテンツなどとの補完関係を構築することです。顧客説得の鍵はバーチャルとリアルネットワークを結びつけるゲートウェイを見つけることにあります。これらの顧客価値を追求する競争戦略は、異なる顧客を結びつけ、ネットワーク外部性を活かす市場多層化戦略(マルチサイド・マーケット)です。 2007年の半歩先の市場トレンドを読みました。少し先の未来を展望してください。みなさまの実務にお役に立てるものと思います。
2006年11月
松田 久一 |
お申込みは今すぐこちらから! |
お知らせ
新着記事
2024.12.20
消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも
2024.12.19
24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス
2024.12.19
24年10月の「広告売上高」は、6ヶ月連続のプラス
2024.12.19
24年10月の「旅行業者取扱高」は19年比で83%に
2024.12.18
提言論文 「価値スタイル」で選ばれるブランド・チャネル・メディア
2024.12.18
24年11月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続の50ポイント割れに
2024.12.18
24年11月の「景気の現状判断」は9ヶ月連続で50ポイント割れに
2024.12.17
24年10月の「現金給与総額」は34ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く
2024.12.16
企業活動分析 SGHDの24年3月期はロジスティクス事業不振で2期連続の減収減益
2024.12.16
企業活動分析 ヤマトHDの24年3月期はコスト削減追いつかず3期連続減益
2024.12.13
成長市場を探せ コロナ禍の壊滅的状況からV字回復、売上過去最高のテーマパーク(2024年)
2024.12.12
24年10月の「家計収入」は再びプラスに
2024.12.12
24年10月の「消費支出」は6ヶ月連続のマイナスに
2024.12.11
提言論文 価値スタイルによる生活の再編と収斂
2024.12.10
24年10月は「有効求人倍率」は改善、「完全失業率」は悪化
2024.12.09
企業活動分析 江崎グリコ株式会社 23年12月期は国内外での売上増などで増収増益達成
2024.12.09
企業活動分析 日清食品ホールディングス株式会社 24年3月期は価格改定浸透で増収、過去最高益達成
2024.12.06
消費者調査 2024年 印象に残ったもの 「大谷選手」「50-50」、選挙も五輪も超えてホームラン!
2024.12.05
24年11月の「乗用車販売台数」は3ヶ月ぶりのマイナス
週間アクセスランキング
1位 2024.05.10
消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン
2位 2024.04.05
消費者調査データ ノンアルコール飲料(2024年4月版) 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」
3位 2024.12.04
提言論文 本格消費回復への転換-価値集団の影響力拡大
4位 2024.03.13
戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか
5位 2024.03.08
消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い
パブリシティ
ENGLISH ARTICLES
2023.04.17
More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.
2023.02.22
40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women
2022.11.14
Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand
2022.09.12
The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market
2022.06.20
6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area