12月に発刊した最新版の「消費社会白書2020」には、「中流家庭から『豊潤生活』への転換」というサブタイトルが付いている。
「中流家庭」型のライフスタイルの特徴は、郊外に持ち家、クルマ、家電製品など物的財を所有することだ。昭和の高度成長期からバブル期にかけて広く定着した、この「中流家庭」型のライフスタイルは、収入格差化、世代交代、単身世帯化、共働き世帯化の進展を背景に、平成の30年を経て変容してきた。
今回の消費社会白書の第2章では、ライフスタイルを類型化し、その中に新たな暮らしぶりを見いだすことを試みた。はじめに、ライフスタイルを財の所有パターンとして、持ち家、クルマの所有、耐久財所有の多寡、サービス支出項目の多寡の四つの組み合わせから操作的に定義した。その結果、八つに類型化できた。
この中で支出水準の高さ、支出意欲、価値観の特徴からも消費の牽引層になっていくと考えられるのが「経験満喫型」、「富裕階級型」「サービス重点型」の三つの類型だ。
この3層に共通している消費の特徴が、サービス支出領域の数の多さである。「経験満喫型」は持ち家、クルマを所有し、物的財所有・サービス支出とも多く、すべてを満たそうとしている。これに対して、「富裕層型」は持ち家・クルマはあるが、物的財は少なく、サービス支出に重きを置く。年収が高いほど出現率が高くなる。「サービス重点型」はクルマ非所有でサービス支出が多い層である。東京など人口200万人以上の大都市居住者に多い。
「豊潤生活」とは物的財以上に、旅行、スポーツ活動、食、コンサート・イベントなどのサービスに支出して、経験値を重ねることに豊かさを感じる暮らしぶりを指している。新しい経験や感動体験を得ることを通じて、経験財としての消費を生み出す。
今回紹介したライフスタイルの3層は、「中流家庭型」が分解して表出した「豊潤生活」を志向する人達である。
より詳細なファインディングは「消費社会白書2020」をご覧ください
見えてきた21世紀の消費-中流家庭から「豊潤生活」への転換
- 発刊以来17年間の知見とデータから「今」を鋭く分析し、「半歩先」を提案
- オリジナルの時系列調査から現在の消費者の実像に迫る
- 中長期だけでなく、短期のマーケティング戦略を構築するための基本データが満載
「消費社会白書2020」特別コンテンツ
「ネクスト戦略ワークショップ」講演録
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ 高収益な市場プラットフォーム事業をどう創出するか?-MSP事業創出作法
- MNEXT 眼のつけどころ 高収益な市場プラットフォーム事業をどう創出するか?-MSP事業創出作法
- MNEXT 眼のつけどころ 次の時代のマーケティング戦略を考える (4)セグメントをうまく理解すれば、収益が上がり、20年先も読める
- MNEXT 眼のつけどころ 次の時代のマーケティング戦略を考える (3)営業の再起動とマーケティングによる市場創造の可能性
おすすめ新着記事
消費者調査データ レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア
調査結果を見ると、「咖喱屋カレー」が、再購入意向を除く5項目で首位を獲得した。店頭接触、購入経験で2位に10ポイント以上の差をつけ、3ヶ月内購入では2位の「ボンカレーゴールド」のほぼ2倍の購入率となった。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場 背景にある簡便化志向や節約志向
どんな人がパンを食べているのか調べてみた。主食として1年内に食べた頻度をみると、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。パン類全体でみると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場 背景にある簡便化志向や節約志向
どんな人がパンを食べているのか調べてみた。主食として1年内に食べた頻度をみると、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。パン類全体でみると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。