
消費社会白書から紹介する第3弾は食生活である。食生活には、家族の変化が如実に表れる。家族揃った夕食をとっている人は半数を割り、調理時間は短縮。食事に使う器の数も減っており、一汁三菜の献立は希なものになっている。
平日のある日の夕食から、食生活の現実をみてみよう。9割が自宅で食べているが、家族全員揃って食べた人は41%、自分ひとりが35%だった。世帯人員2人以上の世帯でみても、家族揃って食べたのは48%と半数未満であった。
夕食に味噌汁をとっている人は22%と少数派だ。味噌汁の代わりはお茶や水など清涼飲料と、ビール類などアルコール飲料になっている。おかずはさまざまだが、その中で出現率が最も高いのは野菜サラダであった。

主食、主菜、副菜といった組み合わせパターンをみると、一汁三菜の伝統的スタイルは3%にすぎず、絶滅寸前と言っていい。最も多いのは、主食のみと複数主食を合わせた「主食中心」で34%、次いで「汁なし二内菜食」が23%となる。
夕食に使う器の数は、平均が3.0個、1個と2個がそれぞれ17%で合わせて34%、3個まで入れて65%であった。器の数は単身層で少なく、既婚子独立のライフステージで多くなる。

調理時間は平均が32分、30分未満が全体の53%と過半数だった。共働き家庭が圧倒的多数派になっても、食事の準備は、女性が中心だ。限られた時間に調理し後片付けをするために、器の数は少ない方が合理的である。
一方、食事についての考え方は保守的である。「家族揃って食卓を囲むべき」「一汁三菜が望ましい」「なるべく手作りすべきだ」という家族とあるべき食事についての考え方は根強い。
分析してみると、こうした考え方は、男性よりも女性が強くもっている。また「生活保守」の価値観と関連しており、「ちゃんとした生活」のための食事に手を抜いてはいけないという観念があるようだ。こうした価値意識と現実との葛藤をどう解決していくかは、食に関連する商品やサービスを提供する側の重要なテーマになっている。
より詳細なファインディングは「消費社会白書2020」をご覧ください

見えてきた21世紀の消費-中流家庭から「豊潤生活」への転換
- 発刊以来17年間の知見とデータから「今」を鋭く分析し、「半歩先」を提案
- オリジナルの時系列調査から現在の消費者の実像に迫る
- 中長期だけでなく、短期のマーケティング戦略を構築するための基本データが満載
「消費社会白書2020」特別コンテンツ
「ネクスト戦略ワークショップ」講演録
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ 高収益な市場プラットフォーム事業をどう創出するか?-MSP事業創出作法
- MNEXT 眼のつけどころ 高収益な市場プラットフォーム事業をどう創出するか?-MSP事業創出作法
- MNEXT 眼のつけどころ 次の時代のマーケティング戦略を考える (4)セグメントをうまく理解すれば、収益が上がり、20年先も読める
- MNEXT 眼のつけどころ 次の時代のマーケティング戦略を考える (3)営業の再起動とマーケティングによる市場創造の可能性
おすすめ新着記事

成長市場を探せ キャッシュレス決済のなかでも圧倒的なボリュームを誇るクレジットカード決済は、2024年、3年連続の2桁成長で過去最高を連続更新するとともに、初の100兆円台にのせた。ネットショッピングの浸透も拡大に拍車をかけている。 キャッシュレス市場の雄、クレジットカードは3年連続過去最高更新(2025年)
キャッシュレス決済のなかでも圧倒的なボリュームを誇るクレジットカード決済は、2024年、3年連続の2桁成長で過去最高を連続更新するとともに、初の100兆円台にのせた。ネットショッピングの浸透も拡大に拍車をかけている。

消費者調査データ トップは「ドライゼロ」、2位を争う「オールフリー」「のんある気分」
アップトレンドが続くノンアルコール飲料。調査結果は「アサヒ ドライゼロ」が首位を獲得、上位にはビールテイストが目立つなかで、「のんある気分」が健闘している。再購入意向では10位内にワインテイストやカクテルテイストの商品も食い込み、ジャンルとしての広がりを感じさせる。

消費者調査データ RTD(2025年3月版) 「氷結」、「ほろよい」の競り合い続く アサヒの新顔は高いリピート意向
調査で結果は「氷結」が半歩抜け出し、それを「ほろよい」が追う形となった。上位にはロングセラーが目立つが、再購入意向では「アサヒ GINON」が3位に食い込んだ。大ヒットしたレモンサワーに加え、お茶やウメなどのフレーバーの台頭、ベース酒の多様化など新たな競争が生まれている。



