消費社会白書2024
消費社会から価値社会へ
巻頭言
30年ぶりに、「物価は上がっていく」という「インフレマインド」への転換が起こった。世界で最も分厚かった中流層が崩壊し、年収350万以下層が2040年には半数を超える勢いで拡大している。海外からの輸入物価上昇と内部の収入階層化が、消費者の行動を変え、新たな価値ライフスタイルを生み出している。
月一回の豪華な外食、年一回の海外旅行、子弟を私学に通わせ、郊外の持ち家戸建て、自家用車を持ち、最新家電で家庭を彩るという中流層の暮らしぶりは終わった。まん中がなくなって、焼け野原のような空洞感が支配している。「こころの戦後」だ。 「欲望自由主義」のもとで「個人欲望」の解放を可能にした消費社会は終わり、生きがいを求めてさまよう価値社会が始まった。
子供第一の規範の食を希求しながら現実は食のジャンク化が進む、家なしなので街の機能で寝どころを選ぶ、収入が低ければ価値脱力すればいい、馴染みのブランドはネットで買い、リアルの買い物はワクワクと楽しく、同じドライヤーでも、美容機器として枠組み提示したり、百貨店に品揃えしたりするだけで二割は高く評価する「認知の歪み」。つまらない商品特徴は過大評価、力を入れた性能は過小評価され、満足度は合理的には上げられない。思い込んでいるドグマを疑った結果だ。
歴史観のある時代規定をしっかり持てば、ゴミのデータとウソのマーケティングが見えてくる。白書編集20年、データなき空虚な理論を討ち、理論のあるデータを求めた。その成果を少しでも共有できればと念じる。
2023年11月
代表取締役社長 松田 久一
消費社会白書2024 構成
- 【1】共通性が失われる価値意識
- 【2】集約化がすすむ価値観
- 【3】低下する「利」の重要性
- 【4】個人化する家族とその再構築
- 【5】格差社会をリードする階層ライフスタイル
- 【1】活発化する消費
- 【2】復活する潜在的消費欲望
- 【3】インフレ期待による消費の押し上げ
- 【4】マインド好転で活発化する消費
- 【5】資産効果で活発化する消費
- 【6】価値ライフスタイルが主導する「価値消費」
- 【1】価値観に基づく食意識
- 【2】規範に倣う食事メニューとジャンク化
- 【3】調理は賢く、手短に
- 【1】階層が生む住居購入の壁
- 【2】価値ライフスタイルで異なる理想の住まい
- 【3】広さより「新しい利便性」を重視
- 【4】「新しい利便性」を求めて大都市集中、東京集中へ
- 【1】特定層が利用する対話型AI
- 【2】意思決定をサポートする対話型AI
- 【3】買い物への応用は限定的
- 【4】用途と使い方に期待が高い対話型AI
- 【1】ブランド意識と購買
- 【2】ブランド選択のプロセスと評価―ビールブランドの事例
- 【3】フレーミング(枠組み)による決定率と値頃価格の差
- 【1】消費者の買い物意識
- 【2】業態チャネルの利用実態
- 【3】買い物への期待と充足
- 【4】不確実な品質の伝達―シグナリング
- 【1】調査設計
- 【2】対象者プロフィール
- 【3】世代区分
- 【4】各章で用いた主な分析手法
- 図表索引
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