出光興産の2021年3月期の連結決算は、売上高3兆9,976億円(前期比29.0%減)、営業利益は1,401億円(前年は39億円の損失)と減収増益となった。売上高は、原油価格の下落や販売数量の減少などにより大幅減。営業利益は、在庫評価影響が前年度893億円の損失から75億円の利益に転じたことに加えて、燃料油セグメントにおける増益などで黒字に転換した。セグメント別には、売上高の79%を占める燃料油セグメントで、国内サプライチェーンの競争力強化、持続的成長の実現に向けた海外事業確立に取り組んだ。しかし、原油価格の下落に加えて新型コロナウイルス感染拡大による上期の販売数量減少などにより、売上高は3兆5,934億円(前期比25.5%減)となった。損益については、前年度に大幅損失を計上した在庫評価影響の解消、原油価格上昇に伴うタイムラグによる製品マージン改善などの増益要因が、持分法投資損失の増加や販売数量減少などの減益要因を上回り、1,021億円(同+2,115億円)となった。2019年に昭和シェル石油との統合新社が発足、同年11月に「2030年ビジョン」「中期経営計画(2020~2022年度)」を発表したが、中長期戦略の再構築と打ち手のスピードアップが必要と考え、 2021年5月に中期経営計画(2020~2022 年度)の見直しを行った。これに先立ち、「責任ある変革者」を2030年ビジョンとして掲げ、その実現に向けて「いかなる環境変化にも柔軟に対応できるレジリエントな企業を目指す」ことを基本方針に据え、将来に向けたポートフォリオの転換を目指す。
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