エスティローダーカンパニーの2023年度の売上高は159.1億ドル(前年比10.3%減)、営業利益15億ドル(同52.4%減)と減収減益であった。COVID-19のパンデミックの悪影響により引き続き経営環境は厳しい状況にあり、とくにアジアのトラベルリテールのスキンケア分野における不振が業績を圧迫、北米も引き続き低迷した。世界的なドル高、インフレ、景気後退も売上減少につながった。カテゴリー別にはスキンケアの売上高82億ドル(前年比17.0%減)、営業利益12億ドル(同56.3%減)、メーキャップ売上高45億ドル(前年比3.2%減)、営業利益-0.2億ドルの赤字、フレグランス売上高25億ドル(前年比0.2%増)、営業利益4.4億ドル(前年比3.5%減)、ヘアケア売上高6.5億ドル(前年比3.5%増)、営業利益-0.3億ドルの赤字であった。スキンケアにおける主力のエスティローダー、ラメール、ドクタージャルトのトラベルリテールにおける不振が全体の業績を押し下げた。フレグランスは、トムフォード、エスティローダー、ル ラボがけん引し売上増加した。地域別にはアメリカの売上45.1億ドル(前年比2.3%減)、欧州・中東・アフリカの売上62.2億ドル(同19%減)、アジア・パシフィック51.9億ドル(同4.5%減)となった。
2020年8月に発表したポストコロナ・ビジネス・アクセラレーション・プログラム(PCBA)における、北米、欧州、中東、アフリカに焦点をあてた独立店舗及び一部百貨店の閉鎖、オンラインへの移行の加速、販売スタッフのリストラなどの再生計画は2023年度までに実質完了、2024年には本来のブランド力をいかし成長軌道に戻り、とくに北米での成長、新興国における成長を加速させ、利益率も回復する見込みとしている。2024年に入り中国における売上減少で圧迫された収益構造立て直しに向けて、全世界でさらに従業員の3~5%を削減を発表、2025年からの売上の成長と利益再構築計画実現に向けた準備を進めている。
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