キヤノンの2022年12月期の連結決算は売上高4兆314億円(前年比14.7%増)、営業利益3,534億円(同25.4%増)となった。2022年度は、年初のオミクロン株の感染拡大、ロシアによるウクライナ侵攻に、上海ロックダウン、さらに世界的なインフレの加速など、様々な逆風に見舞われる厳しい経営環境が続いた。しかしそのような不安定な状況にあっても、製品の需要については総じて堅調に推移した。課題であった製品供給については、半導体などの部品不足に対して、設計変更や代替品調達などを着実に進め、物流の逼迫に対しても輸送スペースの早期確保や代替輸送ルートの活用を行い、全社一丸となって対応。その結果、四半期を追う毎に製品供給量を増やすことができ、販売数量が前年から増加した。部品や物流コストは大きく増加したが、適切に売価に反映させることでその影響の一部を吸収。さらに、約8割を占める高い海外売上比率とコロナ禍以前から進めてきた国内への生産回帰によって、為替の円安も追い風にして、2期連続で大幅な増収増益を達成した。売上高が4兆円を超えるのは、2017年以来5年ぶりとなる。その当時と比べ、 事務機やカメラなどの現行事業の売上は減少したものの、メディカルやネットワークカメラなどの新規事業が大きく成長して売上高は1兆円を超えるなど、事業のポートフォリオの転換が着実に進んだことを表している。2021年度からは中長期経営計画「グローバル優良企業グループ構想」のフェーズVI(2021-2025年)をスタート。「生産性向上と新事業創出によるポートフォリオの転換を促進する」を基本方針として、「産業別グループへの全社的組織再編による事業競争力の強化」、「本社機能の徹底強化によるグループ生産性の向上」の主要戦略を推進している。
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