富士通の2024年3月期の連結決算は、売上収益3兆7,561億円(前年同期比1.1%増)、営業利益1,603億円(同52.2%減)と増収減益であった。営業利益の減益は、主に欧州地域における事業構造 改善費用をはじめとした営業利益調整項目として、当年度1,234億円の損失、前年度比1,381億円悪化の影響が含まれているとしている。営業利益調整項目を控除した調整後営業利益は、前年度が3,208億円、当年度が2,836億円(前年同期比11.6%減)となった。事業セグメント別にみると、重点事業である「サービスソリューション」は、売上高2兆1,375億円(同7.7%増)、調整後営業利益は2,372億円(同45.6%増)となった。なかでも、戦略サービスである、お客様のビジネス成長と社会課題の解決に挑むソリューションである「Fujitsu Uvance」(主にグローバルソリューション)は、売上前年比+84%増と貢献し、この増収効果に加え、採算性改善も着実に進捗し 大幅増益となった。 リージョンズ(Japan)は、金融・公共・ヘルスケア等 幅広い分野で増収(DX、モダナイゼーション案件が牽引)となったが、リージョンズ(海外)は、採算面では厳しい状況が続いている。他のハードウエア、ユビキタス、デバイスは軒並み減収となった。2023年5月に新しい「中期経営計画」(23-25年度)を発表し、サービスソリューションへの重点シフトを明確にした。その結果が出ている決算ではあるが、現実の財務面では厳しい決算となった。事業構造改善費用負担が少なくなる2024年度以降は、大幅な増益を目論んでおり、今後のポートフォリオ改革が成功するか、が注目点である。
企業活動分析/戦略分析シートのご利用には有料の会員登録が必要です。
本コンテンツでは、企業の戦略や活動を当社独自のフレームに沿って時系列で整理しています。
各企業の決算情報やニュースリリースをチェックする手間をかけることなく、戦略や事業環境を素早く把握できます。競合比較や業界分析などに幅広くご活用ください。
現在、企業活動分析/戦略分析シートのサンプルを無料公開しています。無料会員への登録でダウンロードできますので、ぜひお試しください。
企業活動分析レポートのダウンロード
- バックナンバー
企業活動分析に関する基調論文
参照コンテンツ
- MNEXT 2022年の消費の読み方-価値拡張マーケティング(2021年)
- MNEXT 凍結した消費マインドを溶解させるマーケティング―解除後の消費増加シナリオ(2021年)
- MNEXT 静かに激変する「当たり前の日常」と解凍消費(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)
競合他社の業績と比較分析する
おすすめ新着記事
消費者調査データ サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも
調査結果を見ると、「Amazon プライムビデオ」が全項目で首位となった。「プライムビデオ」は認知率で認知率は8割強、利用経験では唯一4割強、今後の利用意向でも3割を超えている。
成長市場を探せ コロナ禍の壊滅的状況からV字回復、売上過去最高のテーマパーク
コロナ下では長期休業や入場制限などを強いられ、壊滅的ともいえる打撃を被ったテーマパーク市場、しかし、コロナが5類移行となった2023年には、売上高は8,000億円の大台を突破、過去最高を記録した。
消費者調査データ シャンプー(2024年11月版) 「ラックス」と「パンテーン」、激しい首位争い
調査結果を見ると、「ラックス(ユニリーバ)」と「パンテーン(P&G)」が複数の項目で僅差で首位を競り合う結果となった。コロナ禍以降のセルフケアに対する意識の高まりもあって、シャンプー市場では多様化、高付加価値化が進んでいる。ボタニカルやオーガニック、ハニーやアミノ酸などをキーワードに多様なブランドが競うシャンプー市場の今後が注目される。