オムロンの2021年3月期の連結決算は、売上高6,555億円(前年比3.3%減)、営業利益625億円(同14.1%増)、当期純利益433億円(同10.6%増)で減収増益だった。二桁増益の要因は主に三つある。ひとつ目は下期にかけて変化した市場の潮目をいち早く捉えたこと(中国がけん引する形でグローバルに回復した需要に対応)、ふたつ目は売上総利益率のさらなる向上(45.5%と過去最高を更新)、三つ目はリーンな固定費マネジメントで、期初に定めた年間200億円の固定費削減を計画どおりやりきった。事業別では、主力の制御機器事業は下期以降の需要回復を的確に捉えたことで、売上高は3,464億円と前年比1.8%減ながら増益を達成。注力しているヘルスケア事業は、新型コロナの感染拡大によって消費者の健康管理意識が高まり、グローバルで血圧計・体温計の需要が拡大。オンラインでの販売を一層強化した結果、売上高は1,231億円(同9.9%増)と過去最高、営業利益も大幅増益し、過去最高益を大きく更新した。2020年度には、「成長力」「収益力」「変化対応力」の三つの強化に取り組んできた「長期ビジョンVG2020」が終了。2021年度までをアフターコロナを見据えた事業変革期と位置づけ、次期長期ビジョンは2022年度からスタートする。次期長期ビジョンでは、社会的課題を解決する社会価値を創出すると同時に、それを経済価値に変え、企業価値を最大化していくことを目指しスタートダッシュをかける。
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