半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:1999年01月01日

らでぃっしゅぼーや株式会社
グリーン・コンシューマー時代の新接点づくり
戦略分析チーム 川口

全文の閲覧には有料の会員登録が必要です。
登録済みの方はこちらからログインして全文をご利用ください。

 「グリーン・コンシューマー」。昨今の健康・安全志向から従来のスーパーマーケットで売っている野菜や肉に満足せず、農薬や食品添加物を使わない無農薬有機栽培野菜や食品などを買い求める消費者のことである。現在こうした消費者が増えてきている。このための販売形態として産地直送が注目を集め、実際に大手スーパーの店頭などでは、「有機産物コーナー」が展開され、これまで有機などを知らなかった消費者までもが興味を持つようになり、市場が急拡大してきている。

 環境市民団体「日本リサイクル運動市民の会」が母体となり、1988年にスタートした「らでぃっしゅぼーや」という有機野菜ブランドがある。日本で初めての「無・低農薬有機野菜」や安全な加工食品などを家庭に届ける会員制の「留め置き戸別宅配システム」として10年以上の歴史がある。

 その「らでぃっしゅぼーや」が、宅配事業から次世代のスタンダードチャネルづくりとして、「エコロジー&オーガニック」のスーパーマーケット事業に進出し、各方面から注目されている。


1.「らでぃしゅぼーや」とは

 ラディッシュはご存じ二十日大根。かわいいのに、どんな荒れ地でも育つ本当に力のある野菜のことである。語源は「ラディックス(Radix)」~ものごとの根っこ、根本という意味のラテン語。「ぼーや」は「坊や」。次世代をになっていく子供たち、つまり未来を意味している。この言葉には、次の世代の子供たちへ、物事の根本である「いのち」をより良く伝えていくという、「願い」そして「哲学」が込められている。

 「らでぃっしゅぼーや」では、「作る人」と「食べる人」の"顔と顔の見える関係"を理念として掲げている。そのシステムは、単に有機食材を配達するだけでなく、誰が農作物を栽培したかを記し、生産者の紹介が顔写真入りのリーフレットとして配達物に封入されている。これは、健康と安全のためにどんな人がどんな場所でどのように作っているのかを知りたいと望む消費者の要求に応えるためである。


2.「らでぃっしゅぼーや」が届けるもの -画期的な宅配事業のシステム

 「らでぃっしゅぼーや」では厳しい基準をクリアした無・低農薬野菜と無添加食品を提供している。その栽培から生活者への宅配のシステムは以下の通りである。

(1)栽培システム:「五つの有機基準」

 「らでぃっしゅぼーや」では、有機農業で頑張る生産者が、以下の厳しい基準による栽培を行っている。

  • 有機堆肥を使う
  • 土壌消毒は一切しない
  • 除草剤は撒かない
  • 反農薬のこと(やむをえず使用する場合は、何の目的で何回使用したか報告する)
  • 自家食用と分けない

(2)品揃え:「注文品1,500アイテム」

 豊富に揃った注文品は、素材や原材料を吟味し、信頼できる製法によって出来た農産品、水産品、畜産品、加工品、環境に配慮した日用品など1,500アイテムを毎週自由に1週当たり約450アイテム注文できる。大きくは以下のような「定番」と「季節商品」の2通りがある。

1) 定期品:「野菜ぱれっと」

 「らでぃっしゅぼーや」が宅配する、畑におまかせの野菜セットのこと。
 畑におまかせして継続的に購入することで会員は旬を味わうことができ、生産者は安心して生産することが出来る。

2) 準定期品

野菜パレットと同様に、その他の農産品、畜産品など安心して食べられるものを、生産者が安定して取り組むことを実現するために、あらかじめ「らでぃっしゅぼーや」の会員が期間と量を予約するシステム。

 またこれらの農産物の情報は「畑情報」として、全国生産者の農場名、生産者名とともに随時公開されている。宅配物への封入はもちろん、インターネットの自社HPの中で逐一更新されている。

(3)宅配システム:「留め置き戸別宅配システム」

 配達は週に1回。決められた曜日の午後から夜にかけて専用冷蔵車で届ける。

 留守の時は指定の場所に置いていく「留め置き」なので、勤労者世帯や留守宅でも再送の手配をする手間を省ける。現在、産直地域は19都道府県に及ぶ。これらのエリアには、全国6カ所の自社の物流センターから配送され、それ以外の府県では最寄りのセンターからヤマト運輸の「クール宅急便」が委託配送を行っている。

 こうした厳格なシステムと地道な有機の育成の努力が口コミとパブリシティによって拡がり、現在では220グループ(約2,000人)の農・蓄・水産業の生産者、加工食品メーカー162社、そして約5万5千世帯の会員数を誇るネットワークを形成するまでに至っている。


続きを読む
「全国初のオーガニック限定スーパーの展開」

続きを読むには有料の会員登録が必要です。


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツプレミアム会員サービス戦略ケースの教科書Online


新着記事

2024.11.20

24年9月の「旅行業者取扱高」は19年比で75%に

2024.11.19

24年10月の「景気の先行き判断」は2ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.11.19

24年10月の「景気の現状判断」は8ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.11.18

企業活動分析 アルファベット(グーグル)の23年12月期は、グーグルサービスがけん引し売上過去最高を更新

2024.11.18

企業活動分析 アマゾンの23年12月期はAWSがけん引し営業利益前年比3倍へ

2024.11.15

24年9月の「現金給与総額」は33ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.11.14

24年9月の「消費支出」は5ヶ月連続のマイナスに

2024.11.14

24年9月の「家計収入」は5ヶ月ぶりのマイナス

2024.11.13

24年9月は「完全失業率」、「有効求人倍率」とも改善

2024.11.12

企業活動分析 ローソンの23年2月期は、「地域密着×個客・個店主義」徹底し増収増益

2024.11.12

企業活動分析 セブン&アイHDの24年2月期は海外事業の影響で減収も過去最高益を更新

2024.11.11

24年10月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のプラス

2024.11.08

消費者調査データ No.416 レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア

2024.11.07

企業活動分析 楽天グループの23年12月期は27期連続増収も、モバイルへの投資で4期連続の赤字

2024.11.07

24年9月の「新設住宅着工戸数」は5ヶ月連続のマイナス

2024.11.06

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向

2024.11.05

企業活動分析 ファンケルの24年3月期算は国内売上がけん引し、3期ぶりの増収増益へ

2024.11.05

企業活動分析 コーセーの23年12月期は、国内好調も中国事業低迷で増収減益に

2024.11.01

成長市場を探せ コロナ禍の落ち込みから再成長する惣菜食市場(2024年)

2024.10.31

月例消費レポート 2024年10月号 消費は緩やかな改善が続いている-政治が消費回復のリスクに

2024.10.31

消費からみた景気指標 24年8月は6項目が改善

週間アクセスランキング

1位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

2位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

3位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

4位 2024.02.02

成長市場を探せ コロナ禍乗り越え再び拡大するチョコレート市場(2024年)

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area