97年4月、ソニーは、国内営業本部の民生用営業部門と販売チャネル別販社3社と商品別専門販社4社および管理業務会社の国内販売子会社8社を統合して、「ソニーマーケティング」を設立した。
単なる販売会社ではなく、マーケティング機能全般をもっており、マーケティングとセールスとの一体化により、営業力の強化を積極的にはかることを狙いとして設立された。
また、98年4月には、B&I営業本部(官公庁、企業向けビジネスを担当)、ブロードキャスト営業本部(放送局、プロダクション向けビジネス担当)のふたつの業務用機器営業部門を移管した。
さらに、99年4月には、ソニープラザ等4社のマーケティング部門との連携強化が明確に打ち出され、国内マーケティングにおいて、ひとつのグループとしてマネジメントする企業となった。
マーケティングとセールスの一体化によって、真のマーケティングカンパニーをめざすことが社内的な目標となっている。行動指針として、つぎの三つが提起されている。
- 付加価値創造
カンパニー、商品カテゴリーを横断するシステムの提案など、マーケティングカンパニーにしたできない付加価値の創造により、ソニートータルでの価値を拡大していくこと - マーケティング改革
既存の考え方にとらわれず、激しい時代の変化に即応していくマーケティングの規範やトレンドを、ソニーマーケティングから発信していくこと - 顧客優先主義
商品からの発想だけではなく、顧客・市場を基点にしたマーケティングを展開していくこと
以上を通じながら、マーケティングサイドからの市場創造の追求が組織の基本目標となっている。
図表1.ソニーマーケティングの変換
ソニーマーケティングの組織図をみると、多様な顧客ネットワークを構築しようとしていることがうかがえる。ソニー本社のカンパニーを中心に、チャネルにあわせて、
- インフォメーションテクノロジー
- パーソナルAV
- ホームAV
- モービルエレクトロニクス
- 通信機器
- 情報システム
- メディア・バッテリー
- ネットワーク
の八つのマーケティング本部が、多様な商品を再編集し、コンスーマー部門、プロフェッショナル部門双方の多様なチャネル、ユーザーに対応できるような営業組織に編成されている。
行動規範の第一にあげられている付加価値創造、具体的には、カンパニーや商品カテゴリーを横断するシステムの提案であるが、いくつかが実行されている。
ソニーマーケティングでは、AVとITを融合させた提案を重点にしており、MDオーディオとVAIO(パソコン)のリンクやVEGA(テレビ)とDVDを中心とするデジタルシアターのシステム訴求が典型例である。
また、ウォークマン、ペンダント式ラジオ、液晶テレビなどカテゴリーを横断する商品ラインナップを、ティーンエージャーのファッションセンスあふれるコンセプトでくくった「PUNKII(パンツー)プロジェクト」がある。これは、ソニープラザなど雑貨店を中心に展開したプロダクトプランニングの典型例である。
こうした成果を受けてこの4月に新説されたのが、クリエイティブマーケティングセンターである。今後も、こうしたチャネル特性にあわせたマーケティング展開、プロダクト横断型のシステム提案、生活提案がすすめられていくと考えられる。
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