本論ではカルフール幕張にスポットをあて、日本の組織小売企業がいかなる戦略で巨大外資勢力に対抗しているのかを明らかにする。
図表1 カルフールグループの沿革 |
幕張の特徴のひとつに、魅力的な商圏に囲まれていることが挙げられる。幕張の北西には人口15万人の習志野市、59万人の船橋市、南西には86万人の千葉市が位置する。
千葉県企業庁が美浜区を中心とする522haの広大なエリアに幕張メッセなど巨大イベント施設とオフィス、事務所ビルなど誘致し「21世紀型の国際商業都市」をつくろうと計画したのは1970年中頃であった。80年に埋め立て完了、89年幕張メッセオープン、90年千葉マリンスタジアム開業など着実に進んだ計画も、バブル崩壊で難航する。この事態に危機感を抱いた千葉県企業庁は、日本IBMわきの一角を、それまでの分譲から賃貸方式へと転換。1999年にカルフールが落札した。20年の定期借地権契約でカルフールが支払う賃料は1平方メートル月当たり363円、1坪月1,200円。カルフール南側に隣接する土地は不動産鑑定価格で1平方メートル52万円ということを考えれば、"破格"の賃料である。
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