2004年度連結業績見通しは、売上高が予想を2,000億円も下回る7兆1,500億円(前年度比△5%)、営業利益が予想を500億円下回る1,100億円、対売上高営業利益率は1.5%と大変な低利益率である。過去最高益をあげた2000年に16,000円の高値をつけた株価は、下降の一途を辿り、現在は4,000円台にまで落ち込んでいる。売上高の62%を占める主力のエレクトロニクス部門の営業利益は△0.7%の損失を出した昨年度よりもさらに悪化する見通しだ。
ソニーの低迷は、サムスンと比較するとより際立つ。サムスンの売上高は5兆672億円とソニーよりは小さいが、営業利益は1兆787億円でソニーの10倍、営業利益率は18.7%である。利益率の圧倒的な差は、株式時価総額に現れる。サムスンが6兆9,964億円、ソニーは3兆7,430億円と半分しかない。株主の6割を外国人投資家が占め、常に20%のレベルの利益率が求められるサムスンに対して、ソニーは中期計画で掲げた5%すら達成できていない状況だ。
このような状況下、ハワード・ストリンガー氏が、ソニー初の外国人トップとして登場した。
ストリンガー氏は所信表明として「ソニーのエンジニアリングとテクノロジーというふたつの柱をコンテンツ開発の分野における圧倒的な力とうまく合体させ、コンシューマーの皆さんに最高のエレクトロニクス機器とエンタテインメントを提供していきたい」と語った。ソフト(コンテンツ)とハードの融合は出井氏が描いたビジネスモデルであり、長年の夢であった。つまり、今回の経営陣刷新は、ソフトとハードの融合を掲げた出井路線の完全なる踏襲、むしろ再宣言である。「コンテンツなければハードはただの鉄屑」というのがストリンガー氏の口癖だ。未完成のソフトとハードの融合の先に、果たしてソニーの復活はあるのか?
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