(2005.04)
>家庭用スパイス市場を巡る攻防
-エスビー・ハウス・ミツカン
戦略分析チーム
2005年春、家庭用スパイス市場で新たな戦いの火蓋が切って落とされた。メーカー出荷額で、430億円前後(チューブ入り含む)の市場を巡り、エスビー食品、ハウス食品、ミツカンの3社が土俵に上がった。これまでシェア50%台で不動のトップを走ってきたエスビー食品に、ハウス食品とミツカンが各々、挑戦状を突きつけ、新たな競争が生まれている。
食が、家庭内食から外食へ、さらに中食へと分解し、自分で手作りする家庭内食の比重が低下するに伴い、様々な基礎調味料は市場が逓減している。こうした中、小幅ながらも伸長する数少ないカテゴリーであるスパイス市場を各社はどのように制しようとしているのか。トップメーカーとチャレンジャー各社の戦略を検証していく。
1.スパイスの小史
紀元前5万年頃から、狩猟民が、獲物の肉の保存や匂いを和らげて肉を食べるために香りのある植物の葉を用いることを知っていたとされるほど、スパイスの起源は古い。古代のオリンピックでは勝者に月桂樹の冠を与えた有名な話もあるし、漢の時代の中国では、宮廷で口臭剤としても使用されていた。シルクロードによる東西交易が盛んになってくると、ヨーロッパにもスパイスが持ち込まれ、スパイスを巡る大航海時代を迎える。日本にも古くから伝来しており、古事記などにも、山椒や生姜、辛子の記述もみられる。当初は、食品より薬品としての使われ方が主流であった。世界が大航海時代を迎える中、鎖国下にあった日本にはスパイスが積極的に入る機会がなかったが、それでも17世紀頃には、オランダやポルトガルから各種の洋風スパイスと料理が伝来した。また、日本人にお馴染みの手近なスパイスであるカレー粉は、明治維新の頃にイギリスから伝来している。
いずれにしても、日本でスパイスが本格的に普及するのは、戦後、メーカーが家庭用洋風スパイスを本格的に発売してからである。食生活の洋風化に伴い家庭用スパイスのマーケットは拡大し、年々伸長を続けてきた。また最近では、調味料としての利用だけではなく、生理活性面での機能性(生体調整機能)も話題になっており、食が内食から外食、中食へと分解するに伴い、基礎調味料が縮む中、年々多少の増減はみられるものの、伸長傾向にある商品カテゴリーであることも確認できる(図表1、2)。
図表1.スパイスの市場規模推移 |
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図表2.基礎調味料の現在 |
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