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(2007.09)
決戦のマーケティングシリーズ 2007
「シャープ」×「サムスン」
巨額投資の成否分ける大画面需要
本稿は、「週刊エコノミスト2007年9月11日号」掲載記事のオリジナル原稿です。
代表執筆 合田英了
社会経済研究チーム 松田久一、菅野守、吉野太喜



 液晶パネルの市場規模は、2006年は前年比約16%増の約8兆5000億円。主用途のテレビでは、ブラウン管から液晶への置き換え需要が一巡しつつあり、伸びは鈍化し始めているが、2011年に約12兆円まで伸長すると予測されている。
図表1.2強の比較
 このうちテレビ向けは、LGフィリップス(韓国)、奇美電子(台湾)、サムスン電子(韓国、ソニーと合弁)、シャープ、友達光電(台湾)の上位5社が出荷枚数で約95%を占める寡占市場であるが、42型以上の大型パネルでは独走するサムスンをシャープが追う展開になっている(図表1)。
 両社は液晶パネルを切り出すガラス基板サイズを巡り激しく競り合ってきた。サムスンが05年、ブラウン管からの切り替えに出遅れたソニーと組み、2,000億円を折半で投資し、韓国の湯井(タンジョン)工場に第7世代ライン(1.9×2.2メートル)を先行稼動させれば、翌06年にはシャープが同じく2,000億円を投資した亀山第二工場(三重県)に第8世代ライン(2.16×2.4メートル)を投入して主導権を奪い返す。
 対するサムスンは、7月にソニーと折半で2,200億円を投資し、湯井第2工場で第8世代ラインを稼動させて追いついた。
 ところがシャープは同じ7月、3,800億円の巨費を投じ、堺市に第10世代ライン(3×3メートル)を擁する液晶パネル工場の建設を発表した。第8世代では1枚のガラス基盤から40型が8枚とれたのが、第10世代は15枚となり、大型テレビ向けパネルの生産効率が一挙に高まる。2010年3月の稼働を予定する。対するサムスンは様子見の状況だ。



※本稿は代表の松田監修のもと、社会経済研究チームで議論した結果を合田英了が代表執筆したものです。


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