(2007.09)
決戦のマーケティングシリーズ 2007
「セイコーエプソン」×「キヤノン」
複合機移行でデッドヒート
本稿は、「週刊エコノミスト2007年9月25日号」掲載記事のオリジナル原稿です。
社会経済研究チーム 松田久一、菅野守、吉野太喜
プリンターの国内市場(2006年)は、台数ベースで前年比7%減の約810万台、金額では同1%減の約7,400億円とやや伸びが止まっている。市場の約8割を占めるインクジェットプリンターが同9%減の約640万台にとどまったのが響いた。ただ、その中でもコピーやスキャナ機能を搭載した複合機が同約20%増で全体の7割を占めるようになり、主戦場となりつつある。
近年、台数シェアでセイコーエプソンとキヤノンの激しい争いが続く。国内市場全体では、05年はエプソンがシェア39%、キヤノンが38%と僅差でエプソンが上回ったが、06年はキヤノン39%、エプソン37%と逆転した。インクジェットに限れば、エプソン42%、キヤノン40%とまた逆になる。
プリンタービジネスは、インクや印刷紙などのメーカー純正サプライ品で収益を稼ぐことができるため、そのベースとなる本体出荷台数を増やすことが肝要である。このため、両社は高画質、高速印刷はもちろん、パソコン不要の直接印刷、長持ちするプリントなど、絶えず新機軸を打ち出してきた。2強の熾烈な競争の結果、01年と06年の機種の比較で、解像度と印字速度は2倍、価格水準は2分の1と大幅な改善が進んだ。
ただ、家庭での主用途であった年賀状印刷への関心が薄れ、性能アップにより買い替えサイクルが長期化、さらに薄型テレビなどに購買層の興味が移るといった逆風も吹く。両社が戦略の転換を迫られた結果、シェアの奪い合いも激しくなった。
※本稿は代表の松田監修のもと、社会経済研究チームで議論した結果を戦略研究チームが執筆したものです。
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