環境対応車には、ガソリンなどの化石燃料を節約するタイプと化石燃料以外を燃料とするタイプに大きく分かれる。トヨタ自動車(以下トヨタ)が1997年から量産を始め、2008年5月に累積100万台を販売した「プリウス」は、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせて駆動するハイブリッド車で、使用する化石燃料を節約するタイプの環境対応車である。一方、今回ホンダが発表した「FCXクラリティ」は化石燃料を使わない燃料電池車である。現在は、ハイブリッド車がようやく本格的な普及期に入ろうとしているが、水素から電気を取り出してモーターを駆動させて走る燃料電池車は、排気ガスを出さず、水を排出するだけであり、次代の環境対応車の本命と目されている。
ホンダは、ハイブリッド車も市場投入しており、2006年に1.5%であったハイブリッド車の比率を2010年までには10%(約40万台)へ引き上げる「10次中期計画」を掲げているが、本来はハイブリッド車ではなく、化石燃料に頼らない燃料電池車の開発・普及を重視しているといわれている。しかし、燃料電池車は、2002年12月にトヨタとホンダが市販車第1号を各々投入したものの、普及はあまり進んでいない。これは、1台数千万円以上するコストと、水素を供給するインフラ(水素ステーションなど)が整わないなどの壁に阻まれているためである。そのため、ホンダは、今回の新型車で、高根沢の工場には専用ラインを新設し、量産によりコストダウンを図る体制を整える一方、提供方法をリース主体とし、その価格設定も収益を度外視(アメリカでは月600ドルの3年契約)した破格の値段で設定し、普及に弾みをつける狙いだ。
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