(2008.09)
最後の黒船"、第2世代SPA「H&M」が
銀座に日本初出店
世界3位ブランドの日本進出
2008年9月13日、スウェーデンのカジュアル衣料品専門店「ヘネス・アンド・モーリッツ(H&M)」が銀座に日本1号店を開店した。テレビや新聞のニュースによると、開店前夜から人が並び、開店前には2,000~3,000人(各報道発表による)の行列ができたと報じられた。
H&Mはギャップ(ブランド「GAP」/米国)、インディテックス(同「ZARA」/スペイン)に次ぐ世界3位であり、既に上位2社は上陸してから10年以上を経過していることから国内衣料品市場にとって"最後の黒船"と称されている。
特に国内市場をリードしているファーストリテイリング(店舗名「ユニクロ」)にとっては、自社の2倍以上の売上高を誇る世界3強に挟撃されることになる。
縮小する日本の衣料品市場、「棲み分け」か?「顧客争奪戦」か?
日本の衣料品市場は約8兆円弱と推計されており、ここ10年は低価格化もあって市場規模は縮小し続けており、その中でファッションニーズを巡る熾烈な競争が繰り広げている。
ファーストリテイリングの柳井正社長はH&Mの日本参入に対して「持ち味が違うので、棲み分けはできる」、さらに「集客効果により、市場の活性化につながる」という見解を示している。しかし、国内の景気は下降局面に入り、相次ぐ値上げなどの影響で消費の低迷は長期化する可能性が高い。
H&Mは銀座店(店舗面積約1,000平方メートル)を皮切りに、11月には原宿(同1,500平方メートル)、09年秋には渋谷店(同2,800平方メートル)に打って出ていく。銀座店が入居している「GINZAgCUBE(ギンザジーキューブ)」の近隣にはユニクロやZARA、原宿にはGAPの旗艦店がある。限られた消費支出の中で、消費者の財布が引き締まれば、都心の激戦区における顧客争奪戦が起きること必至である。
ファッションニーズを巡る戦いは「ビジネスモデル競争」。SPAモデルの確立。
これらの業界上位企業が採用しているビジネスモデルは、自社ブランドを企画から製造・販売までを垂直統合する「SPA(製造小売業)」と呼ばれている。その基盤を確立したのは、1980~90年代のギャップやベネトン(イタリア)であり、大量生産と低価格戦略で一気に市場を支配することに成功した。ファッション性よりも流行に左右されにくいシンプルでカジュアルな基本商品に重点を置き、労働力や設備投資が安い生産地に大量委託生産し、「安くて質のよい定番服」を集中的に市場に供給する体制を構築することが最大のKFSであった。
ユニクロはフリースジャケットの大ヒットにより業績を急速に伸ばしたが、中国を生産地としたこのSPAモデルをいち早く構築したことが強みとなった。しかし、この強みも、ファッション性が重視されてくると一転、弱みへと転じてしまう。同社も市場の変化を捉え、低価格戦略からファッション性を重視した展開への転換を図ったが、消費者の「低価格イメージ」を払拭することができず、かつ大量生産・大量販売のメリットも低下することで、2001年度をピークに2期連続減収減益に陥った。
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