競争が激しい食品スーパー業界の中で、特徴ある豊富な品揃えと、売場づくりと売り方の工夫により持続成長を遂げている中堅チェーンがある。代表例は19期連続増収増益で「日本一視察が多い」と言われる福岡のハローデイ、そして今回とりあげる北野エースである。両社に共通しているのは、同質化競争に陥らずに価格競争を回避していることで、ハローデイは「アミューズメントフードホール」、北野エースは「個性あふれる専門店」というコンセプトを掲げている。
北野エースを展開する株式会社エースは1962年に兵庫県尼崎市で創業し、2014年2月末時点で全国65店舗を展開している。2013年2月期の売上高は215億円で、食品スーパーのランキングでも160位前後に位置する、まさに中堅チェーンである。しかし、北野エースの特徴は全店舗数が65にもかかわらず、北は北海道、南は沖縄まで、中四国エリアを除いた全国20道都府県に展開していることである。
通常この規模であれば、ひとつの出店をローカル(1県)またはリージョナル(近接する複数県)に限定するチェーン展開がセオリーである。生鮮食品など商品の仕入れや物流などで効率化することにより、低価格を実現できるからである。