四つの再編方向 I.国内2大流通グループの全国展開強化
四つの再編方向 II.リージョナル・ローカルトップクラスによる地域小売再編
四つの再編方向 III.中小・零細規模のローカル小売の連携に規模拡大
四つの再編方向 IV.都市部における小商圏対応の多業態・多店舗展開
2015年10月、消費税10%に向けて
2014年に入り、食品小売業の再編が加速している。その大きなきっかけ(トリガー)はふたつある。ひとつは、2013年11月にセブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)が打ち出した「オムニチャネル戦略」である。セブン&アイは、リアル店舗とネットを融合させるオムニチャネル戦略で鍵を握る「顧客接点数」で圧倒的な優位に立つため、グループの店舗数を急速に増やしている。中核のCVSセブン-イレブンは、これまで「特定の地域へ集中的に出店する」ドミナント戦略を基本としてきたため、未出店地域が多かった。しかし2013年の四国進出に加え、2014年3月にはJR西日本グループと業務提携して同グループが展開する駅店舗をセブン-イレブンに転換していくなど、手薄だった西日本エリアにおける店舗網拡大を急速に推進している。
またセブン&アイは、CVS、GMS(イトーヨーカ堂)、百貨店(そごう・西武)、食品SM(ヨークベニマル、ヨークマートなど)、専門店(赤ちゃん本舗、ロフトなど)から外食(デニーズ)まで多様な業態を展開しているが、2013年12月には、通販のニッセンホールディングス、高級衣料品のバーニーズジャパン、日曜雑貨店「フランフラン」を展開するバルス、さらには西日本の食品SM天満屋ストアと立て続けに業務提携するなどオムニチャネル戦略を「成長の第2ステージ」としてグループ拡大に積極的である。
もうひとつは、2014年4月から施行された「消費税増税」である。増税に伴うレジやプライスカードなど売場の設備投資が大きな負担となり、加えて競争相手との価格競争がより厳しくなるなど、企業の体力差が鮮明となる。2015年10月には現行8%から10%へと税率アップが予定されていることから、経営基盤の弱い企業は一気に再編の波に飲み込まれることが予想される。