(2)コカ・コーラ(ネット補完)
(3)東急グループ(融合チャネル開発)
(4)セブン&アイ・ホールディングス(融合チャネル開発)
(5)イオン(融合チャネル開発)
(6)アマゾン(テール小売開発)
(7)ユナイテッドアローズ(テール小売開発)
(8)ブックオフ(テール小売開発)
チャネルは今、オムニチャネルだとか、いろんなふうに変わってきています。それに対して、様々な取り組みがありますので、全部をご紹介するわけにはいきませんが、その中で特徴的なところを、みっつの切り口でご紹介したいと思います。
みっつの切り口とは何かといいますと、ひとつはヘッド部分でネット補完をしていかなければいけないということです(図表1)。食品というのはリアル店舗が非常に強い。そこで物を買っていくことが中心になりますので、そのリアルな店舗を、ネットの強みを生かして、より良くしていくパターンです。お客さまにとっては利便性が良くなると思うのですが、ネットをうまく使うことによってリアルをより強くしていく、取り組みがあります。今回は、クックパッドとスーパータイヨーの取り組み事例とメーカー側からコカ・コーラの事例をご紹介したいと思います。
ふたつは、テール側に対応した「融合チャネル開発」です。ネットとリアルをどう融合化していくかということです。例えば、家電ですと既にネットで調べて、店頭で買ったり、ネットで買ったりあると思います。ショールーミングというものです。店頭で調べてネットで買うとか、そういうような購買行動に対して、ネットとリアルをうまく融合させていくやり方が融合チャネル開発です。
事例としては、みっつ取り上げます。ひとつは東急グループで、駅などリアルな接点をうまく使っていきながら、そこにネットを融合させていく事例です。ふたつは、セブン&アイ・ホールディングスのオムニチャネルとはどういうものなのかご案内します。みっつは、セブン&アイのライバル企業イオンです。イオンの考えている融合というのはどういうものなのかをご紹介したいと思います。
もうひとつのテール側の対応の仕方として、「テール小売の開発」というのがあります。要はスモールセグメント、いろいろなお客さまのニーズに対して、細かく対応していくチャネルの展開です。そのひとつがアマゾンになります。品数をどんどん増やしていくというやり方で、品数と物流がポイントになります。もうひとつがユナイテッドアローズです。これはECの成功事例でよく取り上げられています。EC化率が10%を超えている企業の取り組みです。最後がブックオフです。ヤフーオークションとブックオフは、提携することになりました。まだ実際には動きだしていないですが、その考え方から学ぶことがあると思い、ご紹介します。
図表1.ネット補完・融合チャネル開発・テール小売開発
(1)クックパッドとスーパータイヨー(ネット補完)
まずクックパッドとスーパータイヨーの取り組みです。クックパッドは、1カ月に4,000万人に利用されています。ここをうまく利用しているのがスーパータイヨーです。成田市(千葉県)とか東陽町(東京都江東区)とかで33店舗展開しているスーパーです。このスーパーが、1日5,000人来るか来ないかぐらいの店舗ですけれど、そこの従業員がクックパッドをうまく使って、集客に貢献しているというやり方です。
なかなかネットからリアルというのは難しいですけれど、リアル店舗のお客さまに、ネットの良さをうまく使っていくというやり方になります。
図表2にありますように、タイヨーの東陽町店の事例ですが、クックパッドのホームページ「特売情報」コーナーで、朝採れたアスパラガスを特売に出します。特売する商品は店長が決めます。その幾つかの特売の中から、パートが夕食に使いたい食材をお勧めとして載せます。だから、その日に採れた食材で、パートがお勧めの商品を個店ごとに載せられるのです。主婦が一番困るのは何だと思いますか?夕食のメニューを決めることです。特売の商品を使って、今晩のメニューをどうすればいいだろうか?と考えます。主婦は、安く買いたいので特売商品やチラシに掲載されている商品を買いますが、それではいつもありきたりのメニューになってしまいます。ここがクックパッドの良さで、このアスパラを使ったメニューが特売情報と同じ画面に載せられます。クックパッドでの特売の目玉商品とそれを使ったメニューが一緒に掲載できることで、主婦へのソリューションをうまく提供する形になっています。このあたりが非常にうまいポイントだと思います。実際これは、1日5,000人のお客さまがいらっしゃる中の1,700人が登録していて、客数が1%アップという成果が出ています。
図表2.ネット補完 [1]クックパッドとスーパータイヨーの取り組み
ここでのポイントはみっつあります。ひとつは情報の鮮度だと思います。要は、チラシを作ると、1週間前から「この商品を売り込んでいく」と決めなければならないですが、この事例ではその日に採れたものを、店長とパートが自分のスマホからクックパッドに載せるだけです。その日に採れたものが、その日の鮮度ある情報ということで載せられるというのがひとつ目のポイントです。リアル店舗で今までできなかったことが、このクックパッドを使うことによってできるようになりました。
ふたつは、メニューというソリューションとの連動ができるということです。メニューも、店頭に行けばPOPとかがあるのですが、そうではなくて、家に居ながら特売はこれだなって、このメニューを作ればいいんだなっていうところがすぐできるようになってくる。認知経路とか、情報探索のところにリアルな店舗と、あとはメニューサイトがありますが、それがセットの形になっているのです。
みっつ目のポイントは個店毎にできるということです。東陽町店でも成田店でも同じ取り組みをやっています。そうすると店ごとに、品揃えの違い、お客さまの違いでお勧め商品を出せるようになってくる。今までのチェーンストアが前提としてきたチェーンオペレーションではできなかったことが、これでできるようになってくるということです。メーカーも、こういうことができれば、営業マンが回るお店ごとに、こういう情報をガンガン載せられるわけです。そうすると、リアルな情報がどんどん更新されていくという形にもなってくると思います。このあたりがネット補完ということで、リアルをより強くしていく取り組みだと思います。
本コンテンツの全文は、会員サービスでのご提供となっております。 以降の閲覧には会員サービスご登録が必要です。
|
【基調論文】 顧客接点のリ・デザイン -次世代マーケティングの提案
1.品質差別化へのリ・デザイン-セグメント開発とシグナル開発
2.多元チャネルのリ・デザイン-多元流通ネットワークの再定義
3.リアル小売の売場力開発-選択、購入、入手の即時化
4.消費者ネットワークへのアプローチ戦略
5.顧客の捉え方とセグメントのリ・デザイン-筋書きづくりによる遠近透視
第五回 ネクスト戦略ワークショップ関連コンテンツ