半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2014年06月13日

顧客接点のリ・デザイン -成功事例-
2.チャネル接点のリ・デザイン
大澤 博一


構成
  (1)クックパッドとスーパータイヨー(ネット補完)
  (2)コカ・コーラ(ネット補完)
  (3)東急グループ(融合チャネル開発)
  (4)セブン&アイ・ホールディングス(融合チャネル開発)
  (5)イオン(融合チャネル開発)
  (6)アマゾン(テール小売開発)
  (7)ユナイテッドアローズ(テール小売開発)
  (8)ブックオフ(テール小売開発)
本コンテンツの全文は、会員サービスでのご提供となっております。
ご利用には有料の会員登録が必要です。
ご登録済みの方は、こちらから全文をご利用ください。
ご登録はこちらをご覧ください。

 チャネルは今、オムニチャネルだとか、いろんなふうに変わってきています。それに対して、様々な取り組みがありますので、全部をご紹介するわけにはいきませんが、その中で特徴的なところを、みっつの切り口でご紹介したいと思います。

 みっつの切り口とは何かといいますと、ひとつはヘッド部分でネット補完をしていかなければいけないということです(図表1)。食品というのはリアル店舗が非常に強い。そこで物を買っていくことが中心になりますので、そのリアルな店舗を、ネットの強みを生かして、より良くしていくパターンです。お客さまにとっては利便性が良くなると思うのですが、ネットをうまく使うことによってリアルをより強くしていく、取り組みがあります。今回は、クックパッドとスーパータイヨーの取り組み事例とメーカー側からコカ・コーラの事例をご紹介したいと思います。

 ふたつは、テール側に対応した「融合チャネル開発」です。ネットとリアルをどう融合化していくかということです。例えば、家電ですと既にネットで調べて、店頭で買ったり、ネットで買ったりあると思います。ショールーミングというものです。店頭で調べてネットで買うとか、そういうような購買行動に対して、ネットとリアルをうまく融合させていくやり方が融合チャネル開発です。

 事例としては、みっつ取り上げます。ひとつは東急グループで、駅などリアルな接点をうまく使っていきながら、そこにネットを融合させていく事例です。ふたつは、セブン&アイ・ホールディングスのオムニチャネルとはどういうものなのかご案内します。みっつは、セブン&アイのライバル企業イオンです。イオンの考えている融合というのはどういうものなのかをご紹介したいと思います。

 もうひとつのテール側の対応の仕方として、「テール小売の開発」というのがあります。要はスモールセグメント、いろいろなお客さまのニーズに対して、細かく対応していくチャネルの展開です。そのひとつがアマゾンになります。品数をどんどん増やしていくというやり方で、品数と物流がポイントになります。もうひとつがユナイテッドアローズです。これはECの成功事例でよく取り上げられています。EC化率が10%を超えている企業の取り組みです。最後がブックオフです。ヤフーオークションとブックオフは、提携することになりました。まだ実際には動きだしていないですが、その考え方から学ぶことがあると思い、ご紹介します。


図表1.ネット補完・融合チャネル開発・テール小売開発


(1)クックパッドとスーパータイヨー(ネット補完)

 まずクックパッドとスーパータイヨーの取り組みです。クックパッドは、1カ月に4,000万人に利用されています。ここをうまく利用しているのがスーパータイヨーです。成田市(千葉県)とか東陽町(東京都江東区)とかで33店舗展開しているスーパーです。このスーパーが、1日5,000人来るか来ないかぐらいの店舗ですけれど、そこの従業員がクックパッドをうまく使って、集客に貢献しているというやり方です。

 なかなかネットからリアルというのは難しいですけれど、リアル店舗のお客さまに、ネットの良さをうまく使っていくというやり方になります。

 図表2にありますように、タイヨーの東陽町店の事例ですが、クックパッドのホームページ「特売情報」コーナーで、朝採れたアスパラガスを特売に出します。特売する商品は店長が決めます。その幾つかの特売の中から、パートが夕食に使いたい食材をお勧めとして載せます。だから、その日に採れた食材で、パートがお勧めの商品を個店ごとに載せられるのです。主婦が一番困るのは何だと思いますか?夕食のメニューを決めることです。特売の商品を使って、今晩のメニューをどうすればいいだろうか?と考えます。主婦は、安く買いたいので特売商品やチラシに掲載されている商品を買いますが、それではいつもありきたりのメニューになってしまいます。ここがクックパッドの良さで、このアスパラを使ったメニューが特売情報と同じ画面に載せられます。クックパッドでの特売の目玉商品とそれを使ったメニューが一緒に掲載できることで、主婦へのソリューションをうまく提供する形になっています。このあたりが非常にうまいポイントだと思います。実際これは、1日5,000人のお客さまがいらっしゃる中の1,700人が登録していて、客数が1%アップという成果が出ています。


図表2.ネット補完 [1]クックパッドとスーパータイヨーの取り組み


 ここでのポイントはみっつあります。ひとつは情報の鮮度だと思います。要は、チラシを作ると、1週間前から「この商品を売り込んでいく」と決めなければならないですが、この事例ではその日に採れたものを、店長とパートが自分のスマホからクックパッドに載せるだけです。その日に採れたものが、その日の鮮度ある情報ということで載せられるというのがひとつ目のポイントです。リアル店舗で今までできなかったことが、このクックパッドを使うことによってできるようになりました。

 ふたつは、メニューというソリューションとの連動ができるということです。メニューも、店頭に行けばPOPとかがあるのですが、そうではなくて、家に居ながら特売はこれだなって、このメニューを作ればいいんだなっていうところがすぐできるようになってくる。認知経路とか、情報探索のところにリアルな店舗と、あとはメニューサイトがありますが、それがセットの形になっているのです。

 みっつ目のポイントは個店毎にできるということです。東陽町店でも成田店でも同じ取り組みをやっています。そうすると店ごとに、品揃えの違い、お客さまの違いでお勧め商品を出せるようになってくる。今までのチェーンストアが前提としてきたチェーンオペレーションではできなかったことが、これでできるようになってくるということです。メーカーも、こういうことができれば、営業マンが回るお店ごとに、こういう情報をガンガン載せられるわけです。そうすると、リアルな情報がどんどん更新されていくという形にもなってくると思います。このあたりがネット補完ということで、リアルをより強くしていく取り組みだと思います。





 本コンテンツの全文は、会員サービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧には会員サービスご登録が必要です。

会員サービスのご案内についてはこちらをご覧ください。
会員サービス会員ご登録済みの方は、下記をクリックして全文をご利用ください。


新着記事

2024.11.20

24年9月の「旅行業者取扱高」は19年比で75%に

2024.11.19

24年10月の「景気の先行き判断」は2ヶ月連続の50ポイント割れに

2024.11.19

24年10月の「景気の現状判断」は8ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.11.18

企業活動分析 アルファベット(グーグル)の23年12月期は、グーグルサービスがけん引し売上過去最高を更新

2024.11.18

企業活動分析 アマゾンの23年12月期はAWSがけん引し営業利益前年比3倍へ

2024.11.15

24年9月の「現金給与総額」は33ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.11.14

24年9月の「消費支出」は5ヶ月連続のマイナスに

2024.11.14

24年9月の「家計収入」は5ヶ月ぶりのマイナス

2024.11.13

24年9月は「完全失業率」、「有効求人倍率」とも改善

2024.11.12

企業活動分析 ローソンの23年2月期は、「地域密着×個客・個店主義」徹底し増収増益

2024.11.12

企業活動分析 セブン&アイHDの24年2月期は海外事業の影響で減収も過去最高益を更新

2024.11.11

24年10月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のプラス

2024.11.08

消費者調査データ No.416 レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア

2024.11.07

企業活動分析 楽天グループの23年12月期は27期連続増収も、モバイルへの投資で4期連続の赤字

2024.11.07

24年9月の「新設住宅着工戸数」は5ヶ月連続のマイナス

2024.11.06

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場  背景にある簡便化志向や節約志向

2024.11.05

企業活動分析 ファンケルの24年3月期算は国内売上がけん引し、3期ぶりの増収増益へ

2024.11.05

企業活動分析 コーセーの23年12月期は、国内好調も中国事業低迷で増収減益に

2024.11.01

成長市場を探せ コロナ禍の落ち込みから再成長する惣菜食市場(2024年)

2024.10.31

月例消費レポート 2024年10月号 消費は緩やかな改善が続いている-政治が消費回復のリスクに

2024.10.31

消費からみた景気指標 24年8月は6項目が改善

週間アクセスランキング

1位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

2位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

3位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

4位 2024.02.02

成長市場を探せ コロナ禍乗り越え再び拡大するチョコレート市場(2024年)

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area